2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J12003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
胡 艶楠 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 配置問題 / 組合せ最適化 / ビットマップ図形 / ギロチンカット制約 / 3次元物体詰込み問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
主な研究成果は以下の3点である。 (1) 一般の図形をビットマップ図形に近似し、ビットマップ図形配置問題を解いた。一般の図形をビットマップ図形に近似し、ビットマップ図形を効率的に扱うためのデータ構造を提案することで、レクトリニア図形配置に対する高速な解法を開発した。計算時間を削減するための手法を5つ考案し、多角形配置問題に対する代表的なベンチマーク問題例と、それらをもとに生成した大規模な問題例に対して計算実験を行い、計算時間を比較した。計算実験により非常に短い時間で良質の解を構築できることが確認されている。 (2) ギロチンカット制約付き長方形詰込み問題に対する解法を開発した。長方形詰込み問題は、 様々な大きさの長方形を与えられた容器内に互いに重ならないように配置する問題であり、 機械部品の板取りや服の型紙の配置などの実用的な問題に応用される最適化問題の一つである。ギロチンカット制約とは、容器を端から端まで切り取る操作を繰り返すことで全ての長方形を切り出す制約で、生産工程における手順や機械の構造などにより現実の問題においてしばしば要求される。本研究では、ギロチンカット制約を満たす配置構造を表現するスライス木から最適な配置を線形時間で計算するアルゴリズムを提案した。 (3) 3次元物体詰込み問題に対する解法を開発した。3次元物体詰込み問題は、直方体の容器に3次元物体を詰め込む問題である。本研究では、国際会議ESICUPがルノーと共同で実施したコンペティションで出題された課題で、現実問題に近い様々な制約条件が課された3次元物体詰込み問題である。本研究では、ナップサック問題を用いて効率的な物体の組み合わせをあらかじめ求め、それらを詰め込むという手法を提案し、コンペティションでは3位に入賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで二次元配置問題に対する成果には以下の2つがある: 1.一般の図形をビットマップ図形に近似し、ビットマップ図形配置問題を解いた。 2.ギロチンカット制約付き長方形詰込み問題に対する解法を開発した。これらに対し、計算実験により、良質の解を構築できることを確認した。 その上、三次元配置問題に対する成果には以下がある: 国際会議ESICUPがルノーと共同で実施したコンペティションで出題された課題で、現実問題に近い様々な制約条件が課された三次元物体詰込み問題を対象としてアルゴリズムの開発を行った。本研究では、ナップサック問題を用いて効率的な物体の組み合わせをあらかじめ求め、それらを詰め込むという手法を提案し、コンペティションでは3位に入賞した。 以上のようにいくつかの成果が順調に得られており、おおむね計画どおりに研究が進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.二次元配置問題に対する解法を改善する:代表的な解法の多くは、何も配置されていない状態から始めて、アイテムをひとつずつ配置していき、最後に解を得るという構築タイプの解法である。解を探索するタイプの手法ではないため得られる解の精度はそれほど高くないことが多い。今後の研究では、その点を解決すべく次の2点について研究を実施する。(a)構築タイプの解法では、アイテムを配置する順序が重要である。本研究では、アイテム固有の性質を考えた配置順序を考案することで単純な構築タイプの解法より遥かに精度の高い解を得ることを目指す。(b)与えられた計算時間内にできる限りのパフォーマンスを発揮する解法設計を狙う。計算機実験では、人工的に作成されたベンチマーク問題だけでなく実データを利用することで、アルゴリズムの実問題に対するより正当な性能評価を行う。 2.三次元物体配置問題に対する近似解法の開発: 二次元図形配置問題に対する知見を用いて、三次元物体配置問題の研究を行う。任意の物体をレクトリニア多面体に近似することができるが、その近似の精度に応じて、アイテムを表現するための複雑度が高くなる。開発する解法の性能が、このような複雑度の増大に敏感にならないように、アルゴリズム開発において主にデータ構造の面からの工夫を行う。解法の計算過程で動的に変化するアイテムの配置を効率よく保持するデータ構造を設計し、計算時間を削減する。また、アルゴリズム設計の際には、動的計画法や分枝限定法などの効率的解法を試みる。
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Research Products
(6 results)