2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J12035
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
北岸 靖子 奈良女子大学, 生活環境学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫細胞 / 細胞内シグナル伝達 / エピジェネティック解析 / 遺伝子発現 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーブ・香辛料・漢方薬によって起こるエピジェネティック修飾や遺伝子発現の解析そしてマイクロRNAの解析を行い、食成分がサイトカインやがん抑制遺伝子やDNA修復分子群などの遺伝子発現の調節を介して免疫系にも作用していることを明らかにした。具体的には、柿渋成分やブレファリズミンなどを用いて、DNA修復分子群の遺伝子特異的なメチル化を解析するために、メチル化特異的ゲノムシーケンスPCRなどの方法で、免疫機能に関係するNFkBやAKT、遺伝子修復系分子などの遺伝子産物の変化を解析した。また、未知のメチル化ホットスポットやメチル化CpGアイランドを同定するために、マイクロアレイによる解析も行った。クロマチン修飾を解析するために、クロマチン免疫沈降によって生細胞の刺激からクロマチン修飾に関与する遺伝子を標的としてChIP-PCRで解析を進め、アイクロアレイ結果との相関を解析した。生細胞を紫外線や活性酸素で刺激してその変化を確認した他、種々の食成分による影響も検討した。さらに、種々の細胞刺激によってゲノム全体のメチル化状態がどのように変化するか、メチル基受容体アッセイやメチル化DNAのELISA法を用いて測定を試みた。特定の分子や遺伝子については、メチル化以外の修飾(アセチル化やリン酸化)の状態についても今後解析する予定である。修飾が確認された一部の遺伝子は、細胞内シグナル伝達系の位置づけを明確にして生理作用を議論した。エピジェネティックな変化は遺伝子変化と異なり可逆的であるため、エピジェネティックな変化がもたらした免疫系の異常状態は回復できる可能性がある。このため、特定の食品成分刺激がもたらす遺伝子発現を解析することによって新たな食品の機能性が明らかになるはずで、こうした技術理論の基礎を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画を基本として、発展的な実験などもほぼ順調に進展している。成果として、これまでに申請者を筆頭著者とする査読付き英語論文を3報学術雑誌に発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
食成分によるエピジェネティックな遺伝子発現調節の結果を踏まえて、アレルギー疾患などの予防のための食事のデザインを考案する。例えば、免疫疾患関連遺伝子のSNP解析結果や本研究成果を踏まえて方向性を探索する。さらに、株化細胞や実験動物を用いて実際にそれらの細胞内発現を制御できることをin vitro、in vivoの実験系を用いて検証していく。RNA干渉を分子機能解析に応用し、キー分子を標的としたノックダウン細胞を作製することを試み、AKTやp38MAPKなどの遺伝子発現においても同様に解析を進める。さらに、カベオラ構造やカベオリン局在にどの様な変化を生じさせるのかを共焦点レーザー顕微鏡を用いて調べ、生化学的な手法で相互作用を検討する。また、細胞内局在を蛍光抗体染色によって確認する。種々の細胞刺激によって局在の変化やチロシンリン酸化、アポトーシスの有無を検討する。
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Research Products
(3 results)