2014 Fiscal Year Annual Research Report
新型非光化学消光(NPQ)変異体の解析による新規光合成制御モデルの構築と検証
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14J12093
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 諒一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 光合成 / 非光化学消光 / 強光順化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は今までに報告例のない新型非光化学消光変異体の解析を通じて新規光合成制御モデルの構築と検証を行うことが目的である。 光合成における非光化学消光(NPQ)は植物が強光条件で生育する為に重要な防御機構として知られている。近年我々は、今までに報告例のない珍しいNPQ誘導異常を示す変異体の単離に成功し、この変異体の原因遺伝子はNPQによる防御機構を今後研究する上で重要な研究材料になることが期待された。しかし、本変異体の原因遺伝子であるLight Acclimation Protein 1(以下LAP1)の生理的な機能は未だ明らかになっておらず、本変異体に見られるNPQ異常がどのような分子メカニズムで起きているのかは不明であった。そこで、LAP1タンパク質の関与するNPQによる光合成の制御機構の解明を目的として、本年度はLAP1タンパク質の生理的機能の同定を目指し研究を行った。具体的には、LAP1タンパク質の細胞中の局在を調べ、LAP1タンパク質と協調して働くタンパク質の探索を行った。 また、LAP1タンパク質のNPQ制御への寄与率を推定する目的で、 葉緑体のNPQ誘導をコンピュータ上でシミュレーションするためのプログラムを開発し、NPQ誘導機構に関する極めて新しい知見を得ることに成功した。その成果を科学雑誌“Plant Physiology and Biochemistry”に論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は今までに報告例のない新型非光化学消光(NPQ)変異体の解析を通じて新規光合成制御モデルの構築と検証を行うことが目的である。しかし、本変異体の原因遺伝子であるLAP1の生理的な機能は未だ明らかになっていなかった。LAP1タンパク質の生理的機能の同定はLAP1の関与する光合成制御機構の解明には非常に重要であることから、本年度はLAP1タンパク質の生理的機能の同定を目指し研究を行った。 具体的には、当初の予定どおり①LAP1依存のNPQ誘導と既知の熱放散機構との関係、②LAP1タンパク質相互作用因子の同定に加え、③LAP1タンパク質の詳細な局在解析と生化学的な解析を行った。 ①に関しては既存のNPQ変異体との二重変異体の単離と解析を終え、LAP1依存のNPQ誘導と既知の熱放散機構との関係を明確にした。②に関しては酵母ツーハイブリット法を用いた相互作用因子のスクリーニング法を立ち上げまでが完了した。③に関しては葉緑体中の詳細な局在解析を行うための準備が完了した。 以上の事から、当初の予定よりもやや遅れているものがあるが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は大きく二つの項目を中心に研究を進めていく。 一つ目は本年度立ち上げた酵母ツーハイブリット法を用いた相互作用因子のスクリーニング法を用いてLAP1タンパク質の相互作用因子を同定する。二つ目は準備の完了した葉緑体中の詳細な局在解析とLAP1タンパク質の生化学的な解析を行う。
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Research Products
(5 results)