2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J12292
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 好孝 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | がん / HMGB1 / 骨髄系細胞 / Dectin-2 / 組織選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
HMGB1は主に核内に局在して転写の制御を行うと共に、細胞死や炎症性の刺激によって細胞外に放出され、免疫応答を引き起こすタンパク質である。しかしながら、その生体内における詳細な役割は未だ明白ではない。がんの進展にはがん細胞を取り巻く炎症性微小環境が重要な役割を果たしているが、これまでにHMGB1はマクロファージなどの骨髄系細胞から炎症性刺激により放出されることが報告されている。そこで骨髄系細胞にてHMGB1を欠損させたマウス(LysM-HMGB1 KOマウス)を用いて、がんの進展における生体内HMGB1の役割を調べた。黒色腫細胞株B16F1を皮下に移植した結果、腫瘍の増殖はLysM-HMGB1 KOマウスにおいても変化はなかったが、尾静脈からB16F1細胞を播種すると、肺転移がLysM-HMGB1 KOマウスにおいて減少した。したがって、骨髄系細胞におけるHMGB1は肺転移を亢進することが示唆された。 HMGB1をはじめとした死細胞由来の分子は自然免疫受容体によって認識されることが知られているが、そうした受容体ファミリーの一つであるCLRのがん制御における役割は未知の部分が多い。そこで、CLRの一つであるDectin-2のがん制御における役割について解析した。様々ながん細胞株をマウスの皮下、もしくは尾静脈に播種した結果、野生型マウスとDectin-2欠損マウスで同程度の腫瘍増殖、及び肺転移を示した。しかしながら、脾臓播種による肝転移モデルにおいて、大腸癌細胞株SL4の転移がDectin-2欠損マウスで顕著に増悪していた。したがって、Dectin-2は選択的に肝転移に対する抗腫瘍システムに寄与していることが明らかとなった。 本研究はHMGB1のがん制御における役割を個体レベルで解析したという点で、新規性がある。また、過去に肝転移がCLRによって制御されると報告した例はない。今後の解析により、HMGB1やDectin-2をターゲットとした新規がん治療法の開発に役立つ可能性がある。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)