2014 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ視細胞の多様性形成におけるmicroRNAの役割の解析
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14J12294
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
大道 裕 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | miRNA / 錐体オプシン遺伝子 / 視細胞サブタイプ / 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請者はメダカで2組のmicroRNA(miRNA)/オプシン遺伝子ペア(ola-miR-726/LWS-A, ola-miR-729/SWS1)が種間で保存されていることを発見し、レポーター遺伝子を用いた解析によって、それぞれの遺伝子ペアが共有する遺伝子間領域にmiRNA/オプシン遺伝子ペアが同一視細胞で発現するために必要なシス調節領域が存在すること明らかにしていた。 レポーター遺伝子を用いた解析によってmiRNA/オプシン遺伝子ペアが同一視細胞で発現することが示唆されたが、内在性の発現を検証できていなかったため、二重蛍光in situハイブリダイゼーション法によってmiRNA/オプシン遺伝子ペアの発現様式を検証した。その結果、各miRNAをコードする転写産物はそれぞれ隣接するオプシン遺伝子が発現する錐体細胞サブタイプの核で発現することが確認できた。対をなすmiRNAとオプシン遺伝子が同じ細胞で特異的に発現するメカニズムを解明するために、遺伝子ペアの同一視細胞での発現に必要なシス調節配列に結合する転写因子をJASPAR COREデータベースを用いて予測した。また、TargetScanFish(http://www.targetscan.org/fish_62)を用いて錐体細胞サブタイプ特異的に発現するそれぞれのmiRNAの標的を予測した。その結果、ホメオドメインタンパク質をコードするSix7など、いくつかの視細胞の発生や分化の制御に関わる転写調節因子をコードするmRNAが標的であると推測された。以上の結果をまとめ、論文発表を行った(Dev. Biol. 392, 117-129, 2014)。 さらに、CRISPR/Cas9法によるゲノム編集技術を利用して、ola-miR-726とola-miR-729の特異的遺伝子破壊(ノックアウト)を試み、それぞれのmiRNA配列を様々なパターンで欠損したF1個体が得ることができた。その中からいくつかのmiRNA欠損個体を選び、ノックアウト系統を作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の1年目の実験計画で『1. miRNAとオプシン遺伝子を錐体サブタイプ特定的に発現させる機構の解明』、『2. 機能阻害実験及び過剰発現実験によるmiRNAの生理機能の解析』、『3. イン・シリコおよびイン・ビボでのmiRNA標的の探索と検証』という3つの項目を掲げた。 平成26年度は対をなすmiRNA(ola-mIR-726, ola-miR-729)と錐体オプシン遺伝子が同一視細胞で発現するために必要な共有シス調節領域を種間で保存された非コード配列より特定し、既知の転写因子結合配列データベースであるJASPAR COREデータベースを用いて、その領域に結合すると考えられる転写因子を予測した。さらにmiRNAと錐体オプシン遺伝子の発現をin situ ハイブリダイゼーション法を用いたin vivo解析によって検出することで、本研究の対象となっているmiRNAが対をなす錐体オプシン遺伝子が発現する錐体サブタイプでのみ発現することが明らかとなった。その他にもゼブラフィッシュ3’UTRデータベースを元にしたmiRNA標的予測ツールであるTargetScanFishを利用することで、種間で保存されているmiRNAの標的として視細胞分化に関わる転写因子等が候補された。以上の研究成果を論文にまとめ報告することができた(Dev. Biol. 392, 117-129, 2014)。 また、論文にまとめた研究成果とは別にゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9法を用いたmiRNA遺伝子ノックアウト系統の作製を試みた。その結果、錐体オプシン遺伝子と対をなすmiRNAの成熟miRNA配列の一部を欠損する系統をola-miR-726とola-miR-729のそれぞれで複数の系統を得ることができた。 これらのことより、平成26年度の研究達成度はおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、錐体オプシン遺伝子と対をなすmiRNA遺伝子が錐体サブタイプ特異的に発現し、共通のシス調節領域によって同一視細胞で発現することが明らかとなっていた。平成26年度はJASPAR CORE データベースを用いた転写因子結合配列の予測を行うとともにTargetScanFish(http://www.targetscan.org/fish_62)を用いて錐体サブタイプ特異的に発現するそれぞれのmiRNAの標的を予測した。さらにCRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集により、複数の錐体サブタイプ特異的なmiRNA遺伝子ノックアウト系統を作製した。そこで、平成27年度は、次の2つの項目について解析を行う。 1. miRNA遺伝子ノックアウト系統の表現型および遺伝子発現プロファイリングの解析 作製したmiRNA遺伝子ノックアウト系統個体を用いて、miRNAと対をなす錐体オプシン遺伝子を中心に視細胞特異的な遺伝子発現をin situ ハイブリダイゼーション法によって検出することで、錐体サブタイプ特異性やその維持にどのように影響が出るのかを検証する。それと並行して、ゲノムワイドな遺伝子発現の変化を見るために、次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析を行うことで、錐体オプシン遺伝子と対をなすmiRNAの標的を解明する。 2. その他の種におけるmiRNA/錐体オプシン遺伝子ペアの普遍性を検証する メダカと同様に遺伝子導入が容易で個体発生の観察に優れており、本研究で解析対象としているmiRNAが保存されているゼブラフィッシュを用いて、同一視細胞で発現するmiRNA/錐体オプシン遺伝子ペアの転写制御機構および同miRNAの生理機能の種を超えた普遍性について解析する。 上記項目の実験・解析を行い、論文にまとめ、公表する。
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Research Products
(1 results)