2015 Fiscal Year Annual Research Report
3成分ラジカル反応を鍵とした神経毒バトラコトキシンの効率的合成法の確立
Project/Area Number |
14J12299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 光命 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 全合成 / 天然物 / ラジカル反応 / カップリング反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量的供給を可能とするバトラコトキシンの効率的合成法の確立および人工類縁体による構造活性相関である。バトラコトキシンは電位依存性ナトリウムイオンチャネルに結合し、持続性の活性化状態をもたらすことで強力な神経毒性を発揮するステロイドアルカロイドである。バトラコトキシンはイオンチャネル機能の理解に貢献し、神経科学や創薬化学分野において重要な天然物であるが、極めて複雑な構造ゆえに量的供給を可能にする効率的合成法は確立されていない。本年度は、収束的合成戦略に基づいたバトラコトキシンのステロイド骨格の構築を目的とした。 二つのカップリング反応を用いることで、バトラコトキシンのステロイド骨格を収束的に構築した。まず、市販化合物から11工程でAB環に対応し、アシルテルリドを有するラジカル供与体を合成した。このAB環から発生させた橋頭位ラジカルをD環の電子不足なオレフィンに付加させた。本反応では、ラジカル反応が示す高い化学選択性を利用することで、官能基化されたAB環とD環の連結を実現している。次に、2工程の官能基変換の後、遷移金属を用いたクロスカップリング反応によりC環を構築した。これにより、市販化合物から15工程でバトラコトキシンのステロイド骨格を構築した。 本年度、ラジカル反応と遷移金属を用いたクロスカップリング反応を組み合わせることでバトラコトキシンのステロイド骨格を収束的に構築することに成功した。次年度では、バトラコトキシンの全合成および人工類縁体による構造活性相関に向けて研究を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然物の骨格構築に成功しており、全合成の達成に向けてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
天然物の全合成を第一の目標とする。具体的には、必要な官能基変換と炭素鎖の導入により、バトラコトキシンを30工程以内で合成する。次に、人工類縁体を用いた構造活性相関研究に着手する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Synthetic Study of Batrachotoxin2015
Author(s)
Komei Sakata, Yinghua Wang, Daisuke Urabe, Masayuki Inoue
Organizer
The 10th International Conference on Cutting-edge Organic Chemistry in Asia
Place of Presentation
Kaohsiung, Taiwan
Year and Date
2015-11-02 – 2015-11-05
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Synthetic Study of Batrachotoxin2015
Author(s)
Komei Sakata, Yinghua Wang, Daisuke Urabe, Masayuki Inoue
Organizer
The 5th Junior International Conference on Cutting-edge Organic Chemistry in Asia
Place of Presentation
Taipei, Taiwan
Year and Date
2015-10-30 – 2015-11-01
Int'l Joint Research