2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウォーターフットプリント用データベースと影響評価手法の開発
Project/Area Number |
14J12372
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
小野 雄也 東京都市大学, 環境学部, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | ライフサイクルアセスメント / インベントリ分析 / ウォーターフットプリント / データベース / 産業連関表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では“汚染に着目したウォーターフットプリントインベントリデータベースの開発”を行った。 ウォーターフットプリントには量的な側面と質的な側面があり、両方を加味する必要があるが、今回は質的な側面に着目し、データベースの開発を行った。本データベースは、富栄養化物質である窒素とリン、それらを希釈するのに必要となる希釈水の排出原単位を算定した。日本の2005年版産業連関表を用いて得た環境負荷原単位は対象物質ごとに403部門あり、国内の一次・二次・三次産業すべてを包括し、かつ、直接・間接を網羅したデータ源として、汎用的にウォーターフットプリントインベントリ分析を行うのに貢献する貴重なデータ源として認識される。 窒素とリンの原単位を産業別に分析すると負荷の傾向は整合しており、希釈水は全部門で窒素由来であることが分かった。これらの原単位と水消費原単位を比較した結果、水消費原単位は一次産業が大きく、それらに関連する二次産業や三次産業の部門が波及効果から大きくなる。一方、希釈水原単位に着目すると二次産業の負荷が大きく、それらに関連する一次産業や三次産業の部門が大きくなることが分かるなど、原単位別に傾向を捉えることができた。本研究の結果と既存研究の結果を併用することによってISO規格やWFNのガイドラインで要求されている基本フローを考慮したWFの実施を容易にすることができる。 すでに複数の国内企業が本研究の成果を利用しており、産業界のニーズの高い研究成果を発信していることは特筆に値する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、日本における汚染に着目したウォーターフットプリントインベントリデータベースの開発を行った。富栄養化物質である窒素とリン、それらを希釈するのに必要となる希釈水が対象である。2005年版日本産業連関表を用いて403部門の環境負荷原単位を作成し、分析を行った。 本研究で得られた結果は既に日本LCA学会でアクセプトされ、多くの研究や企業の分析に利用されている。 一方で、中国におけるデータベースについては未だ完成していない。これは各部門より排出される汚染物質の推計において中国が公表している統計資料間で整合性がとれていないことが原因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
グローバル水循環モデルを用いた影響評価手法(水の汚染に着目した影響評価係数)の開発 本研究では収集可能な汚染のインベントリデータが窒素及びリンであるため、富栄養化に着目した影響評価係数とした。既存の研究の地理的評価範囲は地域的である。また、欧州と日本でコンセプトが異なるため、単純な比較をすることができない。本研究では同じコンセプトの下、全球的に影響評価係数を開発する。開発する係数はライフサイクルアセスメントにおける特製化係数である。開発には全球レベルの耕作面積、面積当たりの窒素施肥量、窒素循環モデル、窒素除去比率、水循環モデルが必要となる。そこで、本研究では耕作面積、面積当たりの窒素施肥量をFAO、窒素循環モデルを林ら、窒素除去比率を須賀ら、水循環モデルを花崎らのデータを用いる。これらのモデルは全球を対象にしており、空間解像度は0.5°*0.5°であるため、既存研究に比べ対象範囲が広く、かつ詳細である。
|
Research Products
(2 results)