2014 Fiscal Year Annual Research Report
単球に発現する形態形成制御分子EphA2/ephrin-A1と血管外遊走制御機構
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14J12377
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐伯 法学 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Eph/ephrin / 単球/マクロファージ / 血管内皮細胞 / 血管外遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は仮説「EphA/ephrin-Aシグナルは単球/マクロファージ(MΦ)の血管内皮細胞(EC)層通過経路の形成を制御する」を実証することであり,EphA2とephrin-A1を主な対象分子に定め仮説の検証を進めている。本年度は単球/MΦのephrin-A1ノックダウン細胞を作製し,単一培養あるいはECとの共培養系によるin vitro実験を行うことでephrin-A1のシグナルの影響を接着の観点から詳細に解析した。 ①ノックダウン細胞の作製:単球/MΦ様株化細胞J774.1を材料にephrin-A1のshRNAを遺伝子導入した安定株(efn-A1-KD-J774.1)を作製した。対照として空ベクターを遺伝子導入したJ774.1安定株を作製した。 ②単球/MΦの接着性の解析:EphA2コート基質上でefn-A1-KD-J774.1を培養し,Alexa546-Phalloidinを用いてアクチン線維を蛍光染色した。対照株ではアクチンの蛍光強度が高く長いfilopodia様突起の形成が多数観察されたが,efn-A1-KD-J774.1では細胞の基質への接着性が上昇して扁平化し,広い細胞質からアクチンの蛍光強度が低く短い突起が観察された。以上より,EphA2との結合により単球に発生するephrin-A1シグナルは突起形成に関与することが判明した。 ③単球/MΦとECの相互作用:コンフルエントまで培養したEC上にefn-A1-KD-J774.1を播種して共培養しECの基底側へ浸潤・移動した細胞の割合を計測した。efn-A1-KD-J774.1では対照株の約50%に留まり有意に減少した。以上より,単球に発現するephrin-A1は血管外遊走に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに血管内皮細胞のノックダウン細胞を用いたin vitro実験も実行し成果を得ることを計画していたが,予定からは遅れ現在予備実験の段階である。しかし,当初の計画にはない脾臓を対象器官とした研究にも参画・遂行し,不活性型EphA2を発現させた単球/マクロファージ系細胞を材料に,脾臓への血行性細胞浸潤におけるEphA2シグナルの重要性を示すことが出来た。さらに,次年度に計画していたEphA2とインテグリンとの相互作用やin vivo実験に用いる炎症モデル動物の作製については前倒しで着実に予備実験が進んでいるため,総合評価としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である単球/マクロファージのインテグリンとEphA2あるいはephrin-A1との相互作用についてin vitro実験を遂行する。また,in vivo実験として現在作製している炎症モデル動物が本研究に適しているか検討し,EphA2あるいはephrin-A1ノックダウンJ774.1を静脈内投与してモデル動物の炎症組織への浸潤細胞数を計測し,EphA2/ephrin-A1シグナルが組織浸潤に及ぼす影響について検討する。
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Research Products
(9 results)