2016 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリジン系天然物の全合成研究においてC(sp3)-H直接官能基化を用いる新戦略
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14J12384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 駿 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 天然物 / 全合成 / タキサンジテルペン / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ラクタシスチンの全合成で得られた知見を基に、ラジカル反応を利用した高酸化度タキサンジテルペン類の統一的合成手法を確立することである。平成28年度は、心筋のカルシウムイオンチャネル阻害活性を有し、抗不整脈薬への展開が期待されるタキシンBの全合成研究に取り組んだ。本化合物は、橋頭位オレフィンを含む6/8/6員環(ABC環)が高度に官能基化された構造を特徴とし、特にB環上には第四級炭素を含む6連続不斉中心が存在する。 AC環の連結に続いてB環形成を行う収束的合成戦略に則り、タキシンBの三環性骨格を構築した。市販化合物から4工程で導いた既知のビニルヨージドに対し、Heck反応・Sharpless不斉ジヒドロキシ化・アシルテルリド形成などの5工程の変換を行い、A環フラグメントとなる光学活性なラジカル供与体を合成した。これをC環フラグメントであるシクロヘキセノン誘導体との分子間ラジカル付加反応に付し、酸素官能基を保持しながら両フラグメントを効率的に連結した。第四級炭素構築を含む4工程を経てジカルボニル化合物へ変換後、既知の分子内ピナコールカップリング反応を適用することでB環形成を行った。得られた三環性化合物に対し、アリル位酸化・アリルジアゼン転位などの4工程の変換を行い、酸化度および立体化学を導入した。その結果、市販化合物から19工程で、高度に官能基化されたAB環を有する重要中間体の合成に成功した。 以上の成果は、高酸化度タキサンジテルペン類の新たな迅速的合成手法を提供し、人工類縁体の創出による創薬研究への応用が期待される。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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