2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J12391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 駿一郎 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ダフナンジテルペン / 全合成 / ラジカル反応 / ラジカルカップリング / 抗HIV |
Outline of Annual Research Achievements |
ダフネトキシンは、ジンチョウゲ科の植物が産生するダフナンジテルペンで、強力な抗HIV活性を持つことが知られている。ダフナンジテルペン類には、ダフネトキシン以外にも、有用な生物活性を持つものが数多く知られており、これらの合成法の確立は生物学的に大きな意義があると考えられる。一方で、これらダフナンジテルペン類は、複雑な炭素骨格の上に多くの酸素官能基と不斉炭素を持つため、副反応を抑えながら所望の変換反応を進め、全合成を達成するためには多くの困難が伴う。そのため、官能基許容性の高いラジカル反応を鍵としてダフナンジテルペン類を合成することは、化学的にも大きな意義があると考えられる。 私は、これらダフナンジテルペン類の網羅的合成を視野に入れ、ダフネトキシンの全合成研究を行っている。本年度は、既に確立していた合成中間体の合成経路に散在した問題点を、適宜反応条件を工夫することで解決した。こうして確立された改良合成法に基づき、安価に得られる天然の五炭糖、D-リボース100gを出発物質とした大量合成を行い、ダフネトキシンのC環に相当する合成中間体を20gスケールで得た。このようにして得たフラグメントを用いて三成分ラジカルカップリングを行うことで、ダフネトキシンの三環性主骨格のうち、二つの環を持つ合成中間体を得た。これに対して二つのオレフィンを導入し、これを足がかりに閉環メタセシスを行うことで、ダフネトキシンの主骨格を構成するの残る一つの七員環を構築する検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ABC環からなるダフネトキシンの、B環を構築する検討を行ったが、いずれも成功しなかった。一方、C環フラグメントの合成経路を短工程化することに成功し、その合成経路で大量合成にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラジカル環化を用いてダフネトキシンの炭素骨格を構築したのち、ダフネトキシンの特徴的なエポキシドを立体選択的に導入し、ダフネトキシンの全合成を達成する。また、C環の合成経路には、依然として改善の必要な工程が残っているため、それを解決する。
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