2015 Fiscal Year Annual Research Report
動物個体内での可視化解析を目指した近赤外蛍光プローブの開発とその生物応用
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14J12402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼澤 宏治 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 葉酸受容体 / 蛍光プローブ / イメージング / 蛍光寿命イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画に記載したin vivo蛍光イメージングのような、余剰に添加したプローブの洗い流しができない系を指向して、蛍光プローブのシグナル変化により葉酸受容体の選択的な可視化を達成するため研究を行った。これまでに開発したプローブ群の光化学特性を精査したところ、蛍光団単体と比較して蛍光量子収率が小さく蛍光寿命が短いことから、プローブ群の葉酸部位と蛍光団部位は何等かの形で相互作用していることが分かった。そこで、プローブが葉酸受容体との結合によって葉酸部位と蛍光団部位との相互作用が解消し、葉酸受容体結合前と比較して蛍光寿命に変化が生じるのではないかと考え、開発したプローブを蛍光寿命イメージングに用いたところ、期待通り受容体非結合のプローブと細胞膜上の受容体結合プローブでは1 ns以上の蛍光寿命の差を検出することが可能であった。この結果は、プローブの特性を生かし、蛍光寿命の変化に注目することによってイメージング標的の選択的な可視化を達成した重要な成果である。 一方で生物応用を指向する場合、装置の簡便さや測定時間の短さから蛍光off/on型のプローブの開発が望まれるため、プローブの構造展開を行いよりバックグラウンド蛍光を抑えたプローブの開発に着手した。具体的には葉酸と蛍光団とをつなぐペプチドリンカーを、より葉酸と蛍光団とが相互作用しやすくなるような分子デザインを施した数種類の化合物を合成し、その光化学特性を検討した。その結果、古オあれセインを蛍光団として用いたプローブにおいては、リンカーの長さが短い化合物で蛍光団単体の2%程度までバックグラウンド蛍光を抑えられることが分かり、新規off/on型蛍光プローブの端緒となりうる結果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開発したプローブの物性を利用し、蛍光寿命イメージングによって細胞に発現した葉酸受容体の選択的な可視化を達成し、葉酸受容体との結合の有無をプローブのシグナルの変化によって検出するという目的を達成した。さらにoff/on型の蛍光プローブを開発するための構造最適化まで行えたことから、想定以上に研究が進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
リンカーの構造最適化によって得られた結果を、より波長の長い蛍光団に適用した場合に、同様のストラテジーが適用できるか検討し、生物応用可能な蛍光off/on型プローブの開発を行う。新たに開発した蛍光プローブを、マウスの胚などin vivoの系に応用する。
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Research Products
(3 results)