2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールの特徴的脂肪酸鎖の合成機構と生理的意義の解明
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14J12416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山守 なつみ 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等動物のホスファチジルイノシトール(PI)は、他のリン脂質と異なりその90%以上がアラキドン酸(AA)を有している。私の研究室では、PIにAAを導入する酵素としてLPIAT1 (LysoPI AcynTransferase 1)を世界で初めて同定した。さらに、LPIAT1欠損マウスを用いた解析により、脳の発生段階で形態形成が異常になることがわかった。これらの結果から、AAを含むPIが生理的に重要であることが強く示唆され、LPIAT1の機能が厳密に制御されている可能性が考えられた。 私は修士課程において、LPIAT1の制御分子としてssSPTaを同定し、ssSPTaとLPIAT1が相互作用していること、ssSPTaの発現抑制によりLPIAT1の局在が変化し、PIへのAAの取り込みが抑制されることを見出した。しかしながら、ssSPTaによるLPIAT1の制御の具体的なメカニズムについてはほとんど明らかとなっていなかった。 そこでまず私は、ssSPTaが直接的にLPIAT1の酵素活性を制御する可能性を検証するため、無細胞系でLPIAT1を発現させてLPIAT活性を測定する系を構築した。その結果、LPIAT1が単独でLPIAT活性を持つことを見出し、その比活性の測定に成功した。一方、LPIAT1とssSPTaを共発現させてもLPIAT活性の上昇は見られなかった。これより、ssSPTaはLPIAT1の酵素活性を直接的に制御しているのではないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ssSPTaが直接的にLPIAT1の酵素活性を制御する可能性を検証するため、無細胞系でLPIAT1を発現させてLPIAT活性を測定する系を構築した。LPIAT1とssSPTaを共発現させてもLPIAT活性の上昇は見られなかった。これより、ssSPTaはLPIAT1の酵素活性を直接的に制御しているのではないことが示唆された。現在は線虫を用いたスクリーニングの系の検討を行っており、今後の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
アラキドン酸含有PIの生理的意義の解明を目指し、線虫のLPIAT1欠損変異体を用いて成長異常を指標としたエンハンサースクリーニングを行う。またTMEM68については、酵素活性の同定を目指し、in vitroで活性評価を行う。
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Research Products
(2 results)