2016 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールの特徴的脂肪酸鎖の合成機構と生理的意義の解明
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14J12416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山守 なつみ 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルイノシトール(PI)は生体膜の主要なリン脂質の一つであり、高等動物のPIは、他のリン脂質と異なりその90%以上がアラキドン酸を有している。私の研究室ではこれまでに、PIにアラキドン酸を導入する酵素としてLPIAT1 (LysoPI AcylTransferase 1)を世界で初めて同定し、アラキドン酸を含むPI(20:4-PI)およびその合成酵素であるLPIAT1が生理的に非常に重要であることを見出している。 私は修士過程において、PIの脂肪酸鎖を規定する新規分子として機能未知分子TMEM68を同定した。TMEM68は線虫からヒトまで広く保存されており、TMEM68の線虫変異体でPIの脂肪酸組成が大きく変わっていること、HeLa細胞でもTMEM68の発現抑制によりPI中のアラキドン酸が減少することを見出している。これらの結果から、PIの脂肪酸鎖を規定するTMEM68の機能が進化的に保存されていることがわかった。 そこで私は、TMEM68欠損マウスを取得し、個体レベルでのTMEM68の機能の解明を目指した。TMEM68欠損MEFを用いて脂質組成解析を行ったところ、PIの脂肪酸組成に顕著な変化は見られなかった。また、脳、肝臓、腎臓の臓器のPIの脂肪酸組成の解析も行ったが、アラキドン酸の割合に顕著な変化は見られなかった。LPIAT1など、協調的に機能している分子が存在するのかもしれない。今後は、心臓や骨格筋といったLPIAT1の発現が低いものの20:4-PIを豊富に含む臓器を用いて、TMEM68の欠損によりPIの脂肪酸組成に変化がないか検証を行う必要がある。また、TMEM68欠損マウスでは運動能の低下という表現型がデータベース上に報告されており、この点についても検討が必要と考える。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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