2014 Fiscal Year Annual Research Report
強力超音波音場測定用耐高音圧センサの開発及び、非線形超音波音場の解析に関する研究
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14J12621
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
椎葉 倫久 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ハイドロホン / 音響キャビテーション / 水熱合成PZT / キャビテーションセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン製前面板(受音面)の裏面に水熱合成チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)多結晶膜を成膜し,音響キャビテーションの発生を伴う強力な超音波の音場で測定をしても壊れないように工夫した耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンを作製および評価した結果、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンでは市販のハイドロホンよりも高い耐久性を示すことを明らかにした。この耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンを用いると、以前の研究で開発していた堅牢型ハイドロホンよりも忠実に超音波波形の非線形歪を表現できていることを明らかにした. また、音響キャビテーションの発生する超音波洗浄機に耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンを曝した際に、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンの先端部の受音面周縁部を封止しているエポキシ樹脂が剥がれて脱落したため、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホン先端の封止方法や封止に用いる材料を再検討することで耐久性の向上が望めることを明らかにした。 音響キャビテーションの評価についてはこれまで広帯域積分電圧(BIV)、分調波の空間分布像と音響化学反応のひとつであるソノケミルミネセンスの発光パターンを視覚でのみ判断していたが、このデータの相関をとることでBIVを用いて評価法の有用性を明らかにした.
今後は、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンの背板材料の形状の変化に伴う感度特性についての評価、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンの評価を集束型振動子と超音波洗浄器(定在波音場)の2つの音源を用いてそれぞれ評価を行っていく予定である。さらに、集束型振動子の駆動電圧の違いによる受信波形、音場の調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、耐高音圧ハイドロホンの背板材料の違いによる感度特性および耐高音圧ハイドロホンの耐久性の評価を中心に研究し、その成果を論文および学会にて発表した。 耐高音圧ハイドロホンの背板材料の違いによる特性に関する考察は、応用物理学会論文誌「Japanese Journal of Applied Physics」 53 号に掲載された。これは受信実験を行った際に、市販ハイドロホンの出力波形と我々が作製した耐高音圧ハイドロホンの出力波形の比較を行い検討した。この結果より背板材料として受音面と同じ材料であるチタンが良いと言う事を明らかにした。 耐高音圧ハイドロホンの耐久性の評価に関しては日本音響学会において「チタン製前面板を有するハイドロホンの耐久性の評価」という題目で口頭発表した。この論文では、作製した耐高音圧ハイドロホンと市販ハイドロホンの耐久性に焦点を合わせ、音響キャビテーションが発生する超音波洗浄器内にハイドロホンを曝露することで耐久性の検討し、以下の結論を得た「市販のハイドロホンは超音波洗浄器曝露10分後には感度が低下したが、作製した耐高音圧ハイドロホンでは超音波洗浄器曝露5時間後でも感度は低下せず、市販ハイドロホンより高い耐久性を示した。」また、超音波分子診断治療研究会において「強力超音波音場測定用耐音響キャビテーションハイドロホンの開発」という題目で口頭発表した。本発表ではハイドロホンの振動体と背板材料との接着材料をアクリル系導電性接着剤からエポキシ系導電性接着剤に材料を変更することで耐久性と歩留りの向上が確認できた。また、耐高音圧ハイドロホン先端の封止方法や封止に用いる材料を再検討することで耐久性の向上が望めることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
水熱合成PZT多結晶膜およびTi箔基板を用いて集束型強力超音波照射装置が形成する音場の焦点領域を計測しても、ダメージを受けることのない堅牢なハイドロホン及び、キャビテーションセンサを開発し、その受波感度の周波数特性や堅牢性などを評価する。 今後は、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンの背板材料の形状の変化に伴う感度特性についての評価、耐音響キャビテーションの堅牢型ハイドロホンの評価を集束型振動子と超音波洗浄器(定在波音場)の2つの音源を用いてそれぞれ評価を行っていく予定である。さらに、集束型振動子の駆動電圧の違いによる受信波形、音場の調査を行う。 最終的には、フラットな周波数特性を持つ堅牢なハイドロホン(感度±1.5 dB以内)の開発を行う。 また、開発した堅牢なハイドロホンを用いて、集束超音波音源の振動子を駆動する電圧や振動子の大きさ、形状と集束音場の焦点域の大きさや形状の関係を明らかにする。
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Research Products
(8 results)