2015 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ諸言語の言語接触に関する記述調査研究-タンザニア・マア語の2変種を中心に
Project/Area Number |
14J40066
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 麻矢 京都大学, アジア・アフリカ地域研究科, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 言語接触 / 社会言語学 / バントゥ諸語 / マア語 / 文法記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずこれまでに採集した言語データを整理し、内マア語と外マア語の文法記述に取り組んだ。その際に、所属先の京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科のアフリカ専攻図書室にて、参考文献を収集した。また、オンラインで手に入る学術雑誌に掲載されている論文についても収集した。 7月17日から8月16日にかけては、タンザニアに渡航し、タンガ州ルショト県にて現地調査を遂行した。現地調査では、4月より取り組んでいる文法記述で不足しているデータを補うための聞き取り調査を行った。その中でも、関係節については詳細なデータを収集し、分析をした。また、話者の自由会話についての録音を行った。 8月末には8th World Congress of African Linguisticsに出席し、関係節についての口頭発表を行い、関係節の3つの形式について、関係節内における主要部の統語的役割による、あらわれの差異について論じた。この発表の内容を論文にまとめ、Selected Proceedings of 8th World Congress of African Linguistics に投稿し、その後掲載が決定した。 9月以降は反実の条件文について議論をまとめ、平成28年6月にヘルシンキ大学にて開催予定の6th International Conference on Bantu Languages に発表申し込みをし、12月8日にポスター発表での採択が決定した。 その後もマア語の文法記述と分析をさらに進め、その一方で、マアの人々の言語使用についても考察と分析を行った。これらの結果をまとめたものを、『マア語 (Ma’a/Mbugu) の記述研究―文法と社会言語学的考察―』という題目で論文にし、論文博士学位請求論文として、京都大学大学院文学研究科に提出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の目的である、マア語の文法記述と言語データの提示については、博士学位請求論文として成果を出した。文法記述は先行研究よりも詳細であり、それぞれの文法範疇を説明するのに提示した例文は、ほぼすべてにおいて、内マア語と外マア語のものを挙げた。これは先行研究ではされたことのないものであり、内マア語と外マア語の差異と共通点を分析するのに非常に有効である。 また、調査で得た言語データを分析した成果として、国際学会で発表し、論文を投稿、受理された。次年度の国際学会での発表も応募し、採択されており、成果公開は一定の結果を出せた。 その一方で、今年度は文法記述調査に重点を置いたため、年代別・地域別の語彙調査を十分に行えなかった。次年度の課題としたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年であるので、成果公開を積極的に進めたい。文法記述の成果公開に関しては、すでに2つの国際学会での発表に応募し、採択されている。また、論文投稿も行う。 次年度もタンザニアでの現地調査を予定している。言語能力と言語使用に関する聞き取り調査と、それを裏付けるための簡単な語彙と文法の聞き取り調査をして、内マア語と外マア語の話者の分布を明らかにしたい。これらの調査においては、協力者の許可を得たうえで、録画・録音し、データベースに活用したい。
|
Research Products
(4 results)