2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを含む霊長類におけるリズムの時系列情報および運動パターン情報の脳内表象
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14J40083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鴻池 菜保 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | リズム / fMRI / タッピング / 運動 / 神経ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
「リズム」は言語や音楽などヒトの文化の基盤となる重要な要素のひとつである。リズムを聴くと自然にからだが動く、という現象があるように、リズムの知覚が運動に関わる脳領域の活動を引き起こすことが報告されている。これらの先行研究から、リズムというのはそもそも‘音のまとまり’というような事象(例えば音)の時系列パターンと、‘連続した体の動き’、つまり運動パターンの2つにわかれて脳内で表象されているのではないか、と考えた。本研究の目的はこの仮説に基づき、指や足といった運動の効果器を変えてリズムの再現をおこなうことによって、1)運動の効果器に依らない時系列パターン表象と2)運動の効果器に依存する連続運動パターン表象に関わる脳領域を明らかにすることである。 本年度は、東北大学加齢医学研究所にてヒトを対象とした実験をおこなった。計29名の被験者からfMRIデータを取得した。 実験では、呈示されたリズムパターンを聞いて覚え、数秒後に予め指示された右手示指、左手示指、足、口のいずれかを用いて覚えたリズムパターンを被験者に再現してもらった。その結果、下前頭回および右頭頂葉は運動の効果器に関わらず賦活し、これらの領域が時系列パターンの情報処理に関わっていることが示唆された。一方で左頭頂葉および補足運動野は運動効果器により活動の大きさを変え、運動パターンの情報処理に関わることが示唆された。これらの解析結果をもとに、リズムの情報処理に関わる神経ネットワークについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者29名からの脳活動データ取得および解析が終了し、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は国際専門誌への論文投稿をおこなう。また、当初から予定しているサルの電気生理実験の準備を進め、ヒトとサルではリズムの情報処理やその神経基盤がどのように異なるのかを明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)