2014 Fiscal Year Annual Research Report
光受容タンパク質パラピノプシンを起点とする松果体及び副松果体の光受容機能の解析
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14J40094
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山下 絵美 大阪市立大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2018-03-31
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Keywords | ロドプシン / 松果体 / 光受容 / 波長識別 / パラピノプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
松果体には色を検出するメカニズムが存在し、松果体の色検出応答に関わるUV光受容タンパク質としてパラピノプシンを同定した。これまでに、遺伝子導入ゼブラフィッシュを用いた解析から、松果体の色情報が間脳の手綱核に投射することを見いだした。また、神経構造の形成への関与が示唆される副松果体にもパラピノプシンが発現しており、パラピノプシンが色検出以外にも関わる可能性を見いだした。今年度は、最近発表された脳の透明化技術CUBICなどを利用し、松果体および副松果体におけるパラピノプシン発現細胞の形態について、詳細な組織学的解析を行った。具体的には、パラピノプシン発現細胞に蛍光タンパク質GFPを発現させた遺伝子導入ゼブラフィッシュを用いて、松果体と副松果体のパラピノプシン発現細胞の形態的特徴を比較した。松果体では、発達した外節構造を持ち、神経終末が松果体内でのみ観察された。これまでの研究から、松果体のパラピノプシン発現細胞の光情報は、神経節細胞を介して、脳へと伝達されることが示唆されており、その結果とも一致した。一方で、副松果体のパラピノプシン発現細胞は、松果体で見られたような発達した外節様の構造は持たず、細胞膜に沿ってのみパラピノプシンの免疫反応が観察され、長い神経終末の末端部が左手綱核にまで伸長していた。すなわち、松果体と副松果体では、パラピノプシン発現細胞の入力部と出力部の形態が共に全く異なっていることを示しており、このことからも異なる機能の制御に関わると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回得られた結果から、松果体と副松果体では、パラピノプシン発現細胞は光受容の効率に違いがある可能性が考えられた。このことは、松果体と副松果体のパラピノプシン発現細胞が担う機能の違いを考える上で、非常に重要な知見であると考えられ、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
松果体の明暗応答を支える光受容タンパク質と考えられるエクソロドプシンを発現する松果体可視光受容細胞の神経投射についても解析し、パラピノプシン発現細胞の神経回路と比較することを目指し、エクソロドプシン発現細胞に経シナプス性トレーサーWGAを特異的に発現する遺伝子導入ゼブラフィッシュの作製を継続して進める。
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Research Products
(2 results)