2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J40103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石瀬 素子 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2018-03-31
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Keywords | 地震波異方性 / 時空間変化 / 深部低周波微動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,地震波異方性の時空間変化の観測に基づいた地球内部の様々な状態変化についての考察を課題としており,以下の実施を計画している:(A)地震活動が変化した地域における異方性の時間変化と地殻応力の時間的推移の関係についての検討(B)沈み込み帯プレート境界地域における異方性の時間変化と静的および動的な諸変化についての考察(C)広域の地震波異方性構造の時間変化についての検討. 今年度は,1)既に得ているP波方位異方性と鉛直異方性の3次元速度構造の整合性に関する検討を通して,東北地方の背景にある広域の地震波異方性構造の理解に努めた.加えて,論文投稿の準備を行った。また,2)四国地方において地震波異方性の連続測定を実施し,南海トラフ沈み込み帯におけるプレート境界の地震波異方性の時空間変化の検討に着手した. 1)Ishise & Oda (2008)及び(石瀬・川勝,2012)の手法をHi-netのP波読み取り値データに適用して得られた東北地方のP波方位異方性と鉛直異方性の3次元構造の検討を通して,両異方性構造の解釈の方針を得た.東北地方については,マントルウェッジの異方性は,水平成分に卓越する大規模流に鉛直成分に摂動を齎す小規模対流が加わった流れ場におけるマントル鉱物の格子選択配向によって説明された.スラブ異方性については,シミュレーション研究で提案されたスラブに内在するラミナ構造(Furumura & Kennet, 2005)が主な原因であると考えられ,プレート拡大時の鉱物選択配向にその原因を求める従来の解釈とは違う結論が得られた.2)昨年度は,深部低周波地震の発生頻度の低さから時間変化は得られなかった.今年度は,連続記録を用いることで,これに含まれる深部低周波微動のシグナルから異方性の連続測定が可能となった.また,微動源の移動に伴う変化と思われる異方性の時間的推移が観測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画項目の実施順序は変更したが,予定していた1年度分の内容も概ね実施できた.また,最も時間を要すると考えられる異方性の時間変化の連続測定のための手法がほぼ完成し,これを用いた結果も良好であったため.加えて,広域の異方性構造についての解釈の方針が得られたのは,本研究を進めるのにあたって大きな進歩である.なぜならば,観測された異方性の変化の原因の究明とも大きく関係するからである.
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Strategy for Future Research Activity |
計画した内容を進める.特に,(A)地震活動が変化した地域における異方性の時間変化と地殻応力の時間的推移の関係についての検討について重点的に行う.当初は東北地方太平洋沖地震に伴う地震活動の変化をターゲットとしていたが,これに,熊本地震による地震活動の変化も加えて解析を進める予定である.最終的には,プレート境界地震と内陸地震の違いについても議論したいと考えている.
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Research Products
(5 results)