2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J40128
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 七穂 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | mRNAの局在化 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNAの局在化は、神経細胞の形成や可塑性の獲得に重要な機構である。この制御にはmRNAにコードされる特定の配列と、それを認識するRNA結合タンパク質とが必要とされるが、両者が対応づけされた例はまだ少なく、詳細な機構は解明に至っていない。本研究ではマウス嗅覚神経細胞の軸索における嗅覚受容体mRNAの局在化を研究対象として、その分子機構および生理的意義を明らかにすることを目的としている。 私達はこれまでにRNA結合タンパク質CBF-A がRTS (RNA trafficking sequence)と呼ばれる特定の認識配列を持つmRNAに結合し、その局在化や翻訳状態を制御することを明らかにした。 NCBI Refseqデータベース上の配列を解析した結果、数種類の嗅覚受容体mRNAが RTSと 高い相同性を持つ配列を有することが明らかとなった。そこで本年度はCBF-Aが嗅覚受容体mRNAに結合する可能性について検討を行い、以下のことを明らかにした。1) CBF-Aは嗅覚神経細胞の軸索末端に高く発現している。2) CBF-A特異的抗体を用いた RNA免疫沈降において、複数種類の嗅覚受容体mRNAがCBF-A と共沈降される。3) RNA免疫沈降においてCBF-A と強い親和性を示した嗅覚受容体遺伝子群は、停止コドンから約1kb下流にRTSと高い相同性を持つ配列を有する。これらの結果は、CBF-Aが嗅覚受容体mRNAの軸索輸送に関わるtrans-acting factorである可能性を強く示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた1) RNA 結合タンパク質とターゲットとなる嗅覚受容体mRNAとの対応化、 2) RNA結合タンパク質の嗅覚組織における発現様式の解析、3) 嗅覚受容体mRNAの軸索局在化に必要な配列の同定、について順調に研究を進めることができた。また、嗅覚受容体mRNAの輸送に関わるRNA結合タンパク質のノックアウトマウスを作成し、解析することを次年度以降に計画していたが、CBF-AノックアウトマウスはStony Brook University (New York, USA)の研究者により確立されており、共同研究案が成立したため、すでに研究機関に導入することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載した通り、リポータータンパク質下流に嗅覚受容体mRNAの3’UTR配列を組み込んだプラスミドを作成し、神経系培養細胞に導入することで、3’UTR配列のRNAの軸索への局在化や翻訳状態に対する効果を検討する。 また、CBF-Aノックアウトマウスを解析し、CBF-Aの欠損が嗅覚受容体mRNAの軸索局在や嗅覚組織の形成などにどのような影響を与えるかを明らかにする。
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Research Products
(3 results)