2014 Fiscal Year Annual Research Report
銀ナノ粒子プラズモン誘起光化学反応の機構解明と人工光合成反応効率化への応用
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14J40216
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山本 裕子 香川大学, 工学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | プラズモニック化学 / 銀ナノ粒子 / 光化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目標は、①単一銀ナノ粒子2量体上で引き起こされる光化学反応のプラズモン・SERS分光分析、②フェムト秒過渡SERS分光システムの構築、の2つである。 まず①の実施状況について述べる。まず、産総研四国センター(前所属)現有の単一分子分光用光学顕微鏡装置を用いて、単一銀ナノ粒子2量体間隙における光化学反応をプラズモン・SERS分光法にて分析する一連の実験環境を設定した。次に銀ナノ粒子をクエン酸還元法により生成し、4-ニトロベンゼンチオール(4-NBT)を添加・吸着させ、SERS活性を持つ粒子のみ選択的にプラズモン共鳴スペクトルおよびSERSスペクトルを測定する手法を確立した。さらには、受入機関の香川大学にて、産総研現有の同システムを参考にしながら単一分子分光用光学顕微鏡装置一式を新たに組み上げた。同装置には新たに購入した分光装置を備えつけ、産総研のシステムよりも高分解能かつ高輝度なラマンシグナル検出を可能とした。産総研の顕微鏡装置および香川大学の同装置を併用し、単一銀ナノ粒子2量体上で引き起こされる光化学反応のプラズモン・SERS分光分析を開始し、得られた一連のSERSスペクトルについて現在解析を行っている。 続いて②の実施状況について述べる。目標に沿い、フェムト秒過渡SERS分光システムの構築を行った。具体的には受入機関の香川大学現有のフェムト秒CARS分光システムに倒立型光学顕微鏡を導入し、単一銀ナノ粒子凝集体上での光化学反応について時系列での検証を可能とした。本装置は、中西研究室既存の設備(フェムト秒再生増幅システム、光学顕微鏡、分光器等)、および新規導入した分光器、CCD検出器を組み合わせて新たに構築したもので、本年度で稼働準備が整った。これまでに予備実験として、中西研究室ですでに実証のあるポリビニルアルコールポリマーについて検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀ナノ粒子プラズモン誘起光化学反応の機構解明に必須な単一分子分光用光学顕微鏡装置一式を新たに組み上げ、単一銀ナノ粒子2量体上で引き起こされる光化学反応のプラズモン・SERS分光分析に成功した。また同装置にフェムト秒レーザーを導入し、フェムト秒過渡SERS分光システムを構築した。これらの成果は銀ナノ粒子プラズモン誘起光化学反応の定量分析および時間分解測定に重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した単一分子分光用光学顕微鏡装置およびフェムト秒過渡SERS分光システムを用い、銀ナノ粒子プラズモン誘起光化学反応の原理検証を定量的に行う。特に4-ニトロベンゼンチオールを用いた光化学反応について、反応を引き起こしているプラズモン共鳴スペクトルおよびSERSスペクトルを一対一対応させ互いに特定しながら、化学反応過程の追跡を行う。
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Research Products
(9 results)