2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15002002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清野 進 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (80236067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 伯英 神戸大学, 医学系研究科, 科学技術研究員 (70311610)
柴崎 忠雄 神戸大学, 医学系研究科, 助手 (00323436)
岩永 敏彦 北海道大学, 医学研究科, 教授 (10160128)
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Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 / 発生分化 / 遺伝子 / インスリン分泌 / バイイメージング |
Research Abstract |
(課題1)膵β細胞発生・分化過程におけるインスリン分泌機能発現機構の解明 分化した膵臓の細胞は成体においても一定の可塑性を有し、状況に応じて表現型が変化することを見出した。17年度に健常マウスの膵腺房細胞がインスリン分泌細胞へ分化転換できることを直接的に証明したが、さらに、糖尿病状櫨のマウス、ラットの膵腺房細胞からも同様にインスリン分泌細胞が誘導できることを示した。また、膵β細胞には上皮-間質転換様の変化を伴って脱分化、増殖する能力があり、その後再分化できることを見いだした。 (課題2)成熟膵β細胞におけるインスリン分泌機能統合機構の解明 (1)膵β細胞株MIN6のインスリン分泌顆粒の分画から、Exocyst複合体構成分子Sec6が存在することを見いだし、開口分泌に関与することを示した。(2)Epac2が存在するcAMP compartmentモデルを検証する目的で、Epac2(cAMP-GEFII)を利用したFRETプローブを作製し、MIN6細胞でこのプローブが機能することを認めた。(3)全反射型蛍光顕微鏡を用いた解析から、インスリン分泌顆粒動態は3種類の様式(old face, resting newcomer, restless newcomer)に分類された。Ca^<2+>単独刺激ではold faceが主要な開口分泌の様式であるが、グルコース刺激では一過性の早期相および持続的な後期相のいずれも大部分はrestless newcomerによる開口分泌であることを明らかにした。またcAMPシグナルはrestless newcomerによるインスリン分泌を増強することを見いだした。 (課題3)個体レヘルにおけるインスリン分泌制御機構の解明 消化管ホルモンによるインスリン分泌増強のメカニズムを詳細に解析し、インクレチン存在下では、これまで知られていたK_<ATP>チャネルを介する機構とは異なる新たなグルコース感知機構が働き、生理的な状況下でのインスリン分泌を制御していることが明らかになった。この結果、cAMPにより膵β細胞が僅かなグルコースの濃度変化を感知できるようになることが判明した。 (課題4)インスリン分泌システムの破綻による病能解析 (1)cAMPセンサー分子であるEpac2の遺伝子破壊マウスを用いてインスリン分泌を解析し、cAMPによるインスリン分泌増強にEpac2が重要な役割を果たしていることを組織レベルで証明した。(2)糖尿病候補遺伝子のSNP解析により、K_<ATP>チャネルを構成するSURl(ABCC8)遺伝子と強い相関が認められた。日本人1型糖尿病患者のCBLB遺伝子におけるアミノ酸置換を伴う変異6つのうち1つに機能異常が認められた。
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Research Products
(14 results)