2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15002005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早野 龍五 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126148)
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Keywords | 反物質 / 反水素原子 / 反陽子 / CERN研究所 / 反陽子ヘリウム原子 / スイス / レーザー分光 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、ジュネーブのCERN研究所において、1.反水素原子の分光、2.反陽子ヘリウム原子の分光、の2つを高精度で行い、物質と反物質の対称性を高精度で検証する事を目指して推進している。 このうち反陽子ヘリウム原子については、今年度、光学周波数シンセサイザで較正した狭線巾のパルスレーザーを開発し、従来よりも10倍の高精度で分光を行う事に成功した。すなわち、狭線巾のCWレーザーを光学周波数シンセサイザにロックし、その出力をパルス増幅して、反陽子ヘリウム分光に用いるのである。反陽子ヘリウム4と反陽子ヘリウム3について併せて12本の遷移の精密分光を行った。この結果と三体電磁量子力学計算を組み合わせることにより、反陽子の質量を1ppb(9桁)の精度で決定し、バリオンのCPT対称性の検証精度を更に引き上げられると期待される。逆にCPT対称性を仮定すれば、反陽子ヘリウム原子分光が、陽子質量という基本物理定数に貢献出来るレベルに達したとも言える。 反水素については、炭酸ガスレーザーを用いて連続状態にある陽電子を反水素原子のn=11状態に打ち落す実験を行い、現在結果を解析中である。これは、反水素原子分光の重要な第一歩である。これと並行して、反水素原子生成率の陽電子温度依存性、空間分布、速度分布などの測定を行ったところ、当初考えられていたよりも高速、かつ、主量子数の大きな反水素が生成されていることが明らかになった。これは、将来分光を行う際に障害となりうるため、反陽子と陽電子の混合法の改善を行っている。
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Research Products
(6 results)