2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15011225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文彦 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10127087)
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Keywords | イソキノリンアルカロイド / 生合成遺伝子 / 転写因子 / EST解析 / オウレン培養細胞 / アルカロイド生産性 / 遺伝子機能解析 |
Research Abstract |
イソキノリンアルカロイドは、植物アルカロイドの中でも最も大きな一群を構成しており、モルヒネやベルベリンなど、多様な生理活性を有する重要なアルカロイドである。同アルカロイド生合成系は、植物二次代謝系の中でも分子レベルでの解明が進んでいるものの1つであるが、未だ、その全容の解明には至っていない。これまでの個別の生合成酵素の単離・同定ではなく、網羅的に生合成関連遺伝子群を単離・同定することを目的に、これまでに我々が細胞選抜により確立したベルベリン高生産オウレン培養細胞において発現している遺伝子(EST)の配列決定を行なった。予備的に、約1000のEST配列を決定し、我々が従来法で決定してきた生合成酵素遺伝子の多くが、複数個(全体の数%相当)含まれていることを認めてきたが、今回、さらに約4000のEST配列を決定し、すくなくとも、これまでに単離した生合成遺伝子の全てが複数含まれることを認めた。従って、ほぼ十分な数のESTの配列決定ができたと考えられた。 現在、得られたEST配列情報を元に機能解析を進めており、多くの転写因子候補遺伝子配列が含まれていることを認めた。一方、遺伝子機能を推定するために、異なるアルカロイド生産性を示す細胞株を用いた発現解析を行ない、アルカロイド生合成能と相関性をもつと考えられる遺伝子の絞り込みを行なった。さらに、絞り込んだ遺伝子の機能を、大腸菌において発現した組み換えタンパク質を用いて解析した。その結果、未同定の酵素反応に対する遺伝子の同定にも成功し、これら手法の有望が確かめられたと考えている。次年度以降は、さらに、現在開発中の一過的RNAiによる簡便な遺伝子機能同定法を用いて、遺伝子機能の同定をすすめたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikezawa N, Tanaka M, Nagayoshi M, Shinkyo R, Sakaki t, Inouye K, Sato F.: "Molecular cloning and characterization of CYP719,a methylenedioxy bridgeforming enzyme that belongs to a novel P450 family, from cultured Coptis japonica cells."J.Biol.Chem.. 278(40). 37557-38565 (2003)
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[Publications] F.Sato(Chapter author) eds, Bhojwani, S.S., Soh, W-Y.: "Agrobiotechnology and Plant Tissue Culture"Science Pub.Inc., New Hampshiere, USA. 97-104(197) (2003)