2003 Fiscal Year Annual Research Report
RNA絶対量定量法による神経系分化過程の遺伝子発現プロファイル解析
Project/Area Number |
15011236
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 菊也 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 寄附講座客員教授 (60194809)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / マイクロアレイ / 神経科学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
研究代表者は一連の遺伝子発現解析をアダプター付加競合PCR法(Adaptor-tagged competitive PCR<ATAC-PCR)で行っているが、この方法は相対発現量を測定する方法であるため、絶対量定量のための技術改良を行った。測定したい遺伝子の3'端断片の部分配列にpoly(A)を付加した合成DNAをつくる。この合成DNAについて2重鎖DNAへの変換、制限酵素切断、アダプター付加というATAC-PCRの反応過程を模擬的に行うことにより内部標準を作成する。この内部標準で滴定する事により遺伝子発現量の絶対量を測定することが可能になった。 PC12は神経成長因子などの投与で神経繊維を伸張し、神経細胞に分化するが、そのプロセスの遺伝子発現プロファイル解析を相対量発現定量で行った。神経成長因子添加後1時間から14日までの間の9ポイントについて、RNAを精製、約1800個の遺伝子の発現量を測定した。絶対量定量については、96遺伝子について、神経成長因子添加前の細胞について行った。発現量は大きく異なり、1細胞あたりの発現分子数として、0.01から13,000で、その差は10^6に達した。発現量の多い遺伝子としては、cyclin D2,c-Jun,k-rasなどの増殖関係の遺伝子や、alpha4-integrinやEpthelial cadherinのなどの接着分子が目立った。発現量が極めて少ない遺伝子、即ち一部の細胞でしか発現していない遺伝子としては、inteleukin 3,6,imuhoglobulin heavy-chain binding proteinなどの免疫系の遺伝子が目立つほか、caspase 8,P-cadherinなどの遺伝子があった。遺伝子発現量の絶対量定量を続行して、測定量と遺伝子機能との関連性を探ることにしている。
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