2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトゲノム2次元電気泳動法による疾患関連遺伝子の解明と仮想解析法への展開
Project/Area Number |
15012245
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻賀 創太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00327529)
岡本 信彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60317146)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / ゲノム / 情報工学 / RLGS法 |
Research Abstract |
乳癌患者から手術時に得られた乳癌組織と正常乳腺組織よりDNAを抽出して、ゲノムを2次元に展開して分析する方法であるRestriction landmark genomic scanning (RLGS)法により得られた両者のプロフィールを比較検討すると複数の症例で共通して変化が認められる4つのスポットが同定された。これらの変化は同様の方法で癌部と非癌部を検討したヒト肝細胞癌やヒト食道癌では認められなかった。2つは癌部のプロフィールで輝度が増強し、2つは癌部で輝度が減少した。ヒト乳癌組織で変化が認められた4つのスポットについて、Not1トラッパーで抽出したDNAを精製した検体でRLGS法を行い、RLGSプロフィールからDNAを切り取り、大腸菌でDNAを増幅したのち塩基配列を決定して解析をした。スポットのうち一つ(A)はヒト1番染色体短腕に存在しているセロトニン受容体6の遺伝子の一部に一致した。もう一つ(B)はヒト4番染色体短腕に存在している塩基配列であったが一致する遺伝子はなく、周辺にも乳癌に関与する可能性のある遺伝子はなかった。また、他のスポット(C)についても直接一致する遺伝子はないがヒト17番染色体長腕に存在し周囲にはGrn7があった。最後のスポット(D)はヒト16番染色体短腕に存在するvoltage-dependent calcium channel α 1H subunit遺伝子の一部に一致した。スポットAとスポットBについてはその発現を、スポットCについてはGrb7遺伝子の発現をRT-PCR法で検討した。Grb7遺伝子は非癌部では全例で発現しなかったが癌部や乳癌細胞株では半数以上で発現が認められた。voltage-dependent calcium channel α 1H subunit遺伝子は非癌部では全例で発現したが癌部では半数の症例のみで発現を認めた。RLGS法により新しい乳癌関連遺伝子の発見が可能となった。今後、さらに臨床特性との関連や生物学的意義を明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takeuchi H: "Loss of p16 expression is associated with vascular endothelial growth factor expression in squamous cell carcinoma of the esophagus."Int.J.Cancer. (In press).
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[Publications] Kitagou M: "Comparison of K-ras point mutation distributions in intraductal papillary-mucinous tumors and ductal adenocarcinoma of the pancreas."Int.J.Cancer. (In press).
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[Publications] Janssen J.: "MYEOV, a gene at 11q13, is coamplified with CCND1, but epigenetically inactivated in a subset of esophageal squamous cell carcinoma."J.Hum.Genet. 47. 460-464 (2003)