2003 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌のゲノム進化における逆転写酵素とレトロエレメントの役割
Project/Area Number |
15013241
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (90187443)
|
Keywords | 逆転写酵素 / msDNA / インテグロン / レトロン / サルモネラ / 毒素源性大腸菌(ETEC) / 腸管侵入性大腸菌(EIEC) / Vibrio fluvialis |
Research Abstract |
細菌逆転写酵素は,細胞内でcDNA産物であるmulticopy single-stranded DNA(msDNA)と呼ばれるRNA-DNA複合体の合成に必須の酵素である。細菌逆転写酵素遺伝子(ret)は,ゲノム上でmsDNAの配列をコードする領域とともにレトロンと呼ばれるオペロンを形成しており,一種のレトロエレメントであると考えられている。本研究では,転移性遺伝因子の一種と考えられるレトロンが細菌のゲノム進化にどのように寄与しているのか,また他の転移性因子との関連性などについて明らかにすることを目的としている。 これまでの解析で,新たにSalmonella enterica serovar Typhimurium由来のレトロンの詳細な解析を行い,msDNA-St85の構造解析を行った。このレトロンは,S.Typhimuriumの多剤耐性株であるDT104株にも見つかっており,この株では複数の薬剤耐性遺伝子を含むpathogenicity islandとレトロンが隣接して存在している。薬剤耐性遺伝子の転移に関与しているインテグロンの場合,転移遺伝子カセットの形成に逆転写酵素が関与しているという説があることからインテグロンの解析も同時に行っている。これまでにVibrio fluvialis, salmonella,毒素源性大腸菌(ETEC),腸管侵入性大腸菌(EIEC)などから新たなインテグロンを単離・解析している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 島本 整: "細菌の逆転写酵素およびmsDNAの構造と機能"日本細菌学雑誌. 58. 441-445 (2003)
-
[Publications] Ashraf M.Ahmed: "msDNA-St85, a multicopy single-stranded DNA isolated from Salmonella enterica serovar Typhimurium LT2 with the genomic analysis of its retron"FEMS Microbiology Letters. 224. 291-297 (2003)
-
[Publications] Ashraf M.Ahmed: "New aminoglycoside acetyltransferase gene, aac(3)-Id, in class I integron from a multiresistant strain of Vibrio fluvialis isolated from an infant aged 6 month"Journal of Antimicrobial Chemotherapy. (In press).