2003 Fiscal Year Annual Research Report
三次構造からタンパク質の構造変化を予測するための理論の確立
Project/Area Number |
15014201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80203131)
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Keywords | 神経科学 / 生理活性 / 蛋白質 / 量子化学 / 分子動力学 / グルタミン酸 / グルタミン酸受容体 / 分子認識機構 |
Research Abstract |
本研究ではイオンチャネル型グルタミン酸受容体の結晶構造を用い,この受容体のリガンド認識および活性化のダイナミクスを理論的に解析した.まずは,グルタミン酸受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの静電ポテンシャルおよび受容体リガンド結合ドメインの静電ポテンシャルを,量子化学計算によって調べた.全てのリガンドは,分子の両端に負の静電ポテンシャルを形成している一方,受容体リガンド結合部位は,Arg485を中心に正の静電ポテンシャルを形成していた.これらのリガンド・受容体間の静電ポテンシャルの相補性から,グルタミン酸受容体のリガンド認識には,静電気力が中心的な働きをしていることが明らかにされた. また,リガンドの結合は,まずArg485への結合から始まることも示唆された.受容体活性化メカニズムの解明のために,リガンドおよび受容体の基準振動を調べ,アゴニストとアンタゴニストの結果を比較したところ,アゴニストが共通に持っているもののアンタゴニストは持っていない振動モードが,受容体と水素結合を介して振動相互作用することをつきとめた.そこで,この振動モードがアゴニストとArg485との間の衝突によって振動励起する確率を量子力学的に計算した.その結果,サブピコ秒の時間オーダーでこれら2つの振動モードは励起することがわかった.この振動励起のエネルギー源は,静電相互作用によって加速されたアゴニストの運動エネルギーであった.最後に,受容体リガンド結合ドメインにおけるArg485の振動励起エネルギーの移動過程を,分子動力学シミュレーションによって調べたところ,約3ピコ秒でJヘリックスの原子にサブÅの変位が起こることがわかった.Jヘリックスは,サブユニット間の結合部位に位置している.サブユニット間の結合部位に起こる原子変位は,サブユニット間の会合に摂動を与え,イオンチャネルを開口へと導くのであろう.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Kubo, E.Ito: "Structural dynamics of an ionotropic glutamate receptor"Proteins : Structure, Function, and Bioinformatics. (印刷中). (2004)
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[Publications] M.Kubo, E.Shiomitsu, K.Odai, T.Sugimoto, H.Suzuki, E.Ito: "Picosecond dynamics of the glutamate receptor in response to agonist-induced vibrational excitation"Proteins : Structure, Function, and Bioinformatics. 54. 231-236 (2004)
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[Publications] M.Kubo, E.Shiomitsu, K.Odai, T.Sugimoto, H.Suzuki, E.Ito: "Agonist-specific vibrational excitation of glutamate receptor"J.Mol.Struct. (Theochem). 639. 117-128 (2003)
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[Publications] M.Kubo, E.Shiomitsu, K.Odai, T.Sugimoto, H.Suzuki, E.Ito: "Quantum chemical study of ligand-receptor electrostatic interactions in molecular recognition of the glutamate receptor"J.Mol.Struct. (Theochem). 634. 145-157 (2003)
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[Publications] K.Odai, T.Sugimoto, M.Kubo, E.Ito: "Theoretical research on structures of γ-aminobutyric acid and glutamic acid in the aqueous condition"Journal of Biochemistry. 133. 335-342 (2003)