Research Project
NMDA型グルタミン酸受容体はGluRζ1(NR1)とGluRε(NR2)サブユニットからなり、両者の共発現は受容体の機能発現、翻訳後輸送、シナプス発現、受容体蛋白の安定性に不可欠である。大脳シナプスにはNMDA受容体が豊富に発現し、その活動依存的なカルシウム流入がシナプス回路改築、シナプス可塑性、細胞死などを制御している。しかし、小脳プルキンエ細胞はGluRεサブユニットの発現を欠失するため、機能的なNMDA受容体を持たない例外的なニューロンである。小脳プルキンエ細胞のシナプス回路発達が平行線維と登上線維の間の激しい競合の上に成り立っている事実を考慮すれば、何らかのカルシウム流入装置がその発達を制御している可能性がある。そこで、プルキンエ細胞に豊富に発現するP/Q型カルシウムチャネルに着目し、そのチャネル本体を構成するα1Aサブユニットの遺伝子欠損マウスにおけるシナプス回路網の変化を追求した。その結果、本来遠位樹状突起のみを支配する平行線維の支配領域が近位樹状突起と細胞体にまで拡大していた。反対に、登上線維の支配領域はより近位部へと退縮していた。さらに、本来は単一の登上線維が独占的支配を確立している近位樹状突起において、複数の登上線維が混在する形で多重支配となっていた。これらの事実は、P/Q型カルシウムチャネルが1本の主要な登上線維の強化分子機構としてその独占的支配を促進し、他の興奮性入力をその支配領域から排除する分子機構であることを示唆している。従って、活動依存的なカルシウム流入が脳におけるシナプス回路改築の共通原理であり、NMDA受容体を持たないプルキンエ細胞ではP/Q型カルシウムチャネルがその役割を担っていることを物語っている。
All 2004 Other
All Journal Article (24 results)
Genes Cells 9
Pages: 1-14
J.Biol.Chem. 279
Pages: 3573-3577
Eur.J.Neurosci. 19
Pages: 2682-2692
J.Neurochem. 89
Pages: 1454-1461
Neurosci.Lett. 97
Pages: 97-101
Mol Brain Res. 125
Pages: 60-75
J.Neurosci. 24
Pages: 1734-1743
Pages: 552-569
Eur.J.Neurosci. 20
Pages: 144-160
Hippocampus 14
Pages: 193-215
Pages: 5766-5777
Pages: 9292-9304
Pages: 17634-17639
J.Neurochem. 90
Pages: 526-536
Neurosci.Lett. 369
Pages: 173-178
J.Cell Biol. 167
Pages: 293-302
Neurosci.Lett. 364
Pages: 101-105
Eur.J.Neurosci 20
Pages: 2929-2944
Neurosci.Res. (印刷中)
Eur.J.Neurosci (印刷中)
EMBO report. (印刷中)
J.Neurochem (印刷中)
J.Neurosci. (印刷中)