2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15016021
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
斎藤 康彦 群馬大学, 医学部, 講師 (70290913)
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Keywords | 前庭代償 / 可塑性 / 前庭神経核 / RT-PCR / ホールセルパッチクランプ / スライス / 発火特性 / ラット |
Research Abstract |
前庭代償のメカニズムについてこれまで明確な答えが得られていないが、その理由として、前庭神経核を構成するニューロン、神経回路が十分に同定されておらず、前庭代償に関連する可塑的変化がどの部位で生じているのかが明らかでないことが挙げられる。そこで本研究では、健常動物において、前庭神経核はどのようなニューロン群により構成されているのかを明らかにすることを目的とした。ラット内側前庭神経核スライス標本を用いて、ホールセルパッチクランプ法により内側前庭神経核ニューロンの内在的な膜特性(スパイク後過分極、発火パターン、過分極応答)を調べ、そのニューロンから細胞質を取り出し、RT-PCR法により神経伝達物質関連マーカーの探索を行なうことで、そのニューロンが興奮性、抑制性のいずれであるのかを判別した。その結果、GABA作動性ニューロンは様々な膜特性を示したが、特に、活動電位の生成が時間的に遅れるタイプの発火パターンは他のニューロンではほとんど見られなかったことから、この発火パターンはGABA作動性ニューロンの特徴であると考えられる。一方、グルタミン作動性ニューロンのほとんどは、スパイク間隔がほぼ一定の発火パターンを示し、二相性のスパイク後渦分極とH電流による内向き整流性を示すニューロンであった。以上の結果から、内側前庭神経核において、GABA作動性ニューロンは様々な反応特性を示すheterogeneousなニューロン群であり、グルタミン作動性ニューロンは線形な反応特性を示す限られた種類のニューロン群であることが明らかになった。この研究で得られた結果は、前庭代償の過程において、どのニューロン群でどのような電気生理学的特性が変化しているのかを調べるための基礎となるデータである。
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Research Products
(1 results)