2003 Fiscal Year Annual Research Report
選択的シナプス結合形成過程でのCNRファミリーの機能解析
Project/Area Number |
15016068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱田 俊 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (60282349)
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Keywords | 脳・神経 / 細胞・組織 / 神経科学 / 生体・分子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
脳の発生や再生過程で生じるシナプス形成は、適切なシナプス後および前細胞とが選択的に結合することにより生じる。本研究では多様化したプロトカドヘリンファミリーであるCNRファミリーを、その多様性と発現様式からこの選択的なシナプス形成の分子機構を担う候補分子であると考え、仮説の検証を行っている。本年度は、これまでにCNR蛋白質の発現レベルが高いことがわかっている嗅・鋤鼻神経において、各CNRファミー蛋白質の発現解析と遺伝子改変マウスを用いた機能解析を行った。CNRv4,v9およびv11のみを特異的に認識する抗体を用い、生後2週令のマウス嗅球に対して免疫組織化学を行った。CNRv4抗体では嗅および鋤鼻神経軸索の両者に発現が認められたが、CNRv9およびv11抗体では嗅神経のみ標識され、鋤鼻神経はほとんど標識されなかった。さらに主嗅球内でのCNRv9およびv11蛋白質のそれぞれの発現部位を嗅球の連続切片を用いて検討した結果、両者ともそれぞれ発現が低下している領域が認められ、嗅球内での発現様式が一様ではないことが示唆された。この結果は、CNRファミリーがその多様性を用いて嗅・鋤鼻神経の標的(糸球体)決定に、軸索ガイダンスあるいは選択的シナプス形成の段階で関与している可能性を示唆する。次にCNRの主要なsplicing variantであるCNR-Aに特異的な領域を欠損させた遺伝子改変マウスを用いて、嗅・鋤鼻神経の投射異常が存在するかどうか、嗅・鋤鼻神経マーカーにより検討したが、大きな異常はみいだせなかった。このため、より大きな欠損を細胞内領域に導入した遺伝子改変マウスの作製を行った。また、CNR-A遺伝子改変マウスの嗅神経軸索投射異常をより詳細に検討するため、特定の匂い受容体を発現する嗅細胞の軸索を可視化できるマウスとの交配を進めた。
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[Publications] Sugino H, Yanase H.Hamada S, Kurokawa K, Asakawa S, Shimizu N, Yagi T.: "Distinct genomic sequence of the CNR/Pcdh α genes in chiken"Biochemical and Biophysical Research Communications. 316. 437-445 (2004)
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[Publications] Mutoh, T., Hamada S., Senzaki, K, Murata, Y., Yagi, T.: "Cadherin-related neuronal receptor 1 has cell-adhesion activity with betal integrin."Experimental Cell Research. in press. (2004)
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[Publications] Hamaguchi-Hamada, K., Sanbo, C., Hamada, S., Yagi, T.: "Exposure to hexanal odor influences maternal behavior and induces neonatal death in Fyn tyrosine kinase-deficient mice."Neuroscience Research. in press. (2004)