2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15016087
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60274635)
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Keywords | プリオン蛋白 / プリオン / siRNA / 神経芽細胞腫 |
Research Abstract |
本研究では、正常型プリオン蛋白(PrP^C)に対するsiRNAを用いて、異常型プリオン蛋白(PrP^<Sc>)への変換を阻害し、PrP^<Sc>の異常蓄積を減少させるとプリオン病の病態が改善されるかどうか検討した。本研究では、プラスミドベクターを用い、細胞内でsiRNAを作製する方法を使用した。このため、siRNAの標的部位として、PrP翻訳領域内の異なる5カ所を選択し、それぞれの部位に相当するDNAをU6プロモーターの下流に挿入したPrP-siRNA#1〜5を作製した。これらのコンストラクトをChandlerプリオン株に持続的に感染したマウス神経芽細胞(N2a-58)に導入した結果、全てのコンストラクトにおいて、PrP^Cの発現は抑制され、PrP^<Sc>の細胞内蓄積も抑制された。特に、PrP-siRNA#1は、最も強い抑制効果を示した。この効果は、導入したプラスミド量及び導入時間に比例して増強した。興味深いことに、PrP^Cはプラスミド導入後48時間で有意に減少していたが、PrP^<Sc>の抑制は導入後96時間になって認められた。この結果は、PrP^<Sc>の半減期がPrP^Cより長いことを示していると考えられる。さらに、このsiRNAによるPrP^<Sc>の抑制効果が、Chandlerプリオン株以外のプリオン株(福岡-1及び22L)に感染した細胞でも認められるかどうか検討した。その結果、福岡-1や22Lプリオン株感染細胞においても、PrP-siRNA#1はPrP^<Sc>の細胞内蓄積を抑制した。つまり、これらの結果は、今回我々が作製したPrP特異的siRNAが異なるプリオン株に感染した細胞内のPrP^<Sc>の産生を効果的に抑制できることを示した。
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