2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物アルカロイド・フェブリフジンの生体代謝物を鍵物質とする新規抗マラリア剤の開発
Project/Area Number |
15019007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 吉輝 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00111302)
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Keywords | アルカロイド / フェブリフジン / 抗マラリア剤 / 代謝物 |
Research Abstract |
多剤耐性マラリア原虫が出現し拡散していることから、マラリアの治療には新たな薬剤の開発が強く求められている。生薬・常山のアルカロイド・フェブリフジンは以前から抗マラリア剤の候補物質として注目されていたものの、強力な副作用も同時に発現することから臨床の場に供されることはなかった。したがって、フェブリフジン関連物質の医薬品としての可能性は、副作用がより軽減された化合物の分子設計にかかっている。本研究では、副作用が軽減された化合物の分子設計のヒントをマウスにおけるフェブリフジンやDf-1の生体代謝物に求めた。 最初に、マウス肝ミクロソーム分画によるフェブリフジン、Df-1の代謝物を精査した結果、フェブリフジンからは2種の主代謝物Feb-A,B、Df-1からは4種の主代謝物Feb-A,B,C,Dが単離された。Feb-A,B,C,Dは全てフェブリフジンの酸化成績体であった。 次いで、熱帯熱マラリア原虫に感染したヒト血液を用いたin vitroスクリーニングにより代謝物の抗マラリア活性を評価した。その結果、Feb-Aは強力な抗マラリア活性と高い選択性を示し、その値はフェブリフジンと同等であった。Feb-Cは、抗マラリア活性はフェブリフジンに若干劣るものの、その選択性はきわめて高かった。一方、Feb-B,Dの抗マラリア活性、選択性はともに期待されるものではなかった。 4種の代謝物Feb-A,B,C,Dのマラリア感染ネズミを用いたin vivo実験では、in vitro実験で良好な結果を与えたFeb-A,Cはフェブリフジンよりは活性が劣るものの、腹腔内、経口投与によりクロロキンより強い活性が認められた。それらの毒性に関しては、正確なLD_<50>値は得られていないが、フェブリフジンに比べて1/10程度に軽減されている。
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Research Products
(1 results)