2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子科学館加速器装置を用いた高校生向き科学実践型IT教育プログラム開発と評価
Project/Area Number |
15020207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 信 東北大学, 大学院・教育情報学研究部, 助教授 (10005465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最上 忠雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60359536)
長谷川 晃 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80241545)
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Keywords | 高大連携理科授業 / 実践的物理授業 / IT活用遠隔授業 / 東北大学量子科学館 / コッククロフトイオン加速器 / 電子黒板システム / 自習教材 / 概念地図構成 |
Research Abstract |
本研究は以下の3項目を課題とする。新しい高大連携理科授業の提案、そのなかで、ITを活用した遠隔実践的物理授業の可能性、高校生にも存在する素朴概念の実態と解明。高大連携理科授業として大学の大型実験装置を開放し、高校生に物理実践授業の場を提供することを提案する。本研究では東北大学量子科学館600kVコッククロフトイオン加速器(工学部教育用)を用いる。本加速器は物理原理や現象の宝庫で、その構成、基本原理、機能、イオンビームの働きや利用を総合的に理解することは理科実践学習として最適である。一般には、大型で複雑なイオン加速器を短期間に理解することは高校生には通常は極めて難しい課題だが、代表者の提案する"新スキーマ理論"に基礎をおき、用意周到にマルチメディア教材を用意しITを活用した提供方法と体験的実験授業で可能で有効なことを2年間で明らかにする。本年度は近隣2高校と提携し授業参観、事前調査や検討を基に2年生約30人に対し土日に3回の課外授業を構成した。初回は加速器の構成と原理の導入+CD自習教材提供、2回目は主構成要素に関わる5題のグループ小実験(手作り実験教材も動員)とした。最後は量子館で加速器見学・運転・試料照射実験を行なった。3回とも電子黒板システム等を含むIT設備で柔軟に開発教材を提供し質疑に活用した。終了後の加速器構成とその原理や現象の関連概念地図構成の課題では、把握度は思った以上の高い結果を示した。最も活発だったのは小道具や装置を用いた小実験授業で、特に他グループ訪問時には生徒同士や生徒教師間で活発な議論が交わされた。生徒達は元来実験好きなことを認識した。IT活用遠隔授業では実際には上の最終回では生徒を二分し、一方を大学内の遠隔教室で試行した。現場と遠隔をDV映像と電子黒板をIPで双方向に結び、状況説明、指示、質問や議論に供した。概念地図構成課題は、「現場」組に劣るが十分合格に達した。ただし、生徒は遠隔映像では臨場感に欠け、意欲を削ぐとの不満を訴えた。次年度の本格遠隔実践授業設計の基礎資料を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岩崎 信: "スキーマによる人間行動の解釈-新スキーマ理論に向けて-"教育情報学研究. 2. 23-40 (2004)
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[Publications] 中野 亮治, 岩崎 信: "素朴概念研究の収集 その1"教育情報学研究. 2. 49-56 (2004)
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[Publications] 岩崎信, 最上忠雄, 長谷川晃, 阿部直之, 小山田誠, 馬場舞子: "高校大学連携IT活用課外物理実験授業計面"日本教育工学会第19回全国大会講演論文集. 745-746 (2003)