2003 Fiscal Year Annual Research Report
子どもにおけるインターネット利用の教育的および心理的効果―使用目的別の検討―
Project/Area Number |
15020222
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂元 章 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (00205759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久美子 日本学術振興会, 特別研究員
内藤 まゆみ 日本学術振興会, 特別研究員
高比良 美詠子 お茶の水女子大学, メディア教育開発センター, 助教授 (80370097)
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Keywords | インターネット / 情報活用能力 / 情報活用の実践力 / 学習意欲 / 自己効力感 / 小学生 / パネル研究 |
Research Abstract |
本研究では、2時点のパネル調査を行うことにより、インターネットの使用量が、小学生の情報活用の実践力、学習理由、学習意欲、自己効力感に及ぼす影響について検討した。調査対象は、都内の小学校8校の5・6年生817名であり、配布された質問紙には、(1)インターネット使用量(メールの送受信、HP閲覧、掲示板への書き込み、HP作成、チャット、オンラインゲーム)のそれぞれについて1週間の使用時間を尋ねる項目、(2)情報活用の実践力(収集力、判断力、表現力、処理力、創造力、発信・伝達力)について尋ねる項目、(3)学習意欲について尋ねる項目、(4)学習理由(主体的な理由で勉強に取り組んでいるか)について尋ねる項目、(5)自己効力感について尋ねる項目の5つが含まれていた。 まず、構造方程式モデル分析により、インターネットの使用量と情報活用の実践力間の因果関係について検討した。その結果、インターネットの使用量が情報活用の実践力を全体的に伸ばすことが示唆された。とくに収集力と表現力については、インターネットの使用が効果を持つ場合が多かった。次に、インターネット使用量と主体的な学習態度(学習意欲、学習理由、自己効力感)間の因果関係について検討した。その結果、全体的にみて、インターネットの使用量が主体的な学習態度を伸ばすことが示唆された。とくに学習意欲と自己効力感については、インターネット使用の効果が多く見られた。このような結果は、インターネットの使用によって、主体的な学習を行う上で必要となる能力や態度が向上することを含意している。 本年度はまた、中学生を対象として、インターネット使用が、生徒の社会的適応や精神的健康に及ぼす影響に関する調査研究を開始し、データ収集を行った。来年度のデータ収集と合わせて分析し、影響関係を特定する。
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