Research Abstract |
15年度:首都圏及び地方の公立小学5年生から中学3年生まで,5,000名前後を対象に2回の縦断的質問紙調査を実施した。16年度:首都圏及び地方の公立小学5,6年生を対象に,毎週1回理科の時間の振り返りカードを実施した。主要結果:a)理科が元来好きな子ども,日常の科学的興味関心が高い子ども,追究力のある子どもは,後に理科を好きになる。b)抑うつ傾向の高い子ども,携帯電話でのメール使用頻度の高い子どもは理科を嫌いになる傾向がある。c)学業コンピテンスが高い子どもは後にインターネットで調べ物などをする頻度が高まるが,携帯電話でのメール使用頻度の高い子どもはインターネットの利用頻度が低くなる。d)日常的興味関心の高い子どもは,その後携帯電話でのメールの使用率が高まるが,日常の科学的興味関心が高い子どもは携帯電話でのメールの使用頻度が低くなる。e)追究力や科学的興味関心,学業コンピテンスが高い子ども,携帯電話の使用頻度が高い子どもは,後に日常での興味関心が高まる。f)携帯電話でのメール使用頻度が高い子ども,日常での興味関心の高い子どもで,その後の抑うつ傾向が高まり,理科が好き,科学的興味関心,学業コンピテンスが高い子どもは,その後の抑うつ傾向が低くなる。g)理科が好き,インターネットでの調べ物をする頻度が高い子どもで,後の学業コンピテンスが高まり,抑うつ傾向の高い子どもは,後の学業コンピテンスが低くなる。h)日常での興味関心が高い子ども,学業コンピテンスや科学的興味関心が高い,理科が好きな子どもで,後の追究力が高まり,抑うつ傾向の高い子どもは後の追究力が低くなる。i)理科が好き,学業コンピテンスが高い子どもで,後の科学的興味関心が高まり,携帯電話でのメールの使用頻度が高い子どもは,後の科学的興味関心が低くなる。 子どもの理科への興味を高めるには,日常生活で科学的な事象へ子どもの注意を向けたり,複雑な物事を整理しながら根気強く考えていく面白さを子どもに伝えることが必要だろう。それには,インターネットを用いた学習も有効である可能性があるが,その利用法によっては子どもの抑うつ傾向を高め追究意欲を低める可能性もあるため,使用方法に工夫が必要である。
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