2003 Fiscal Year Annual Research Report
独創的発想とともに論理的思考力を育成する教授・学習支援システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
15020261
|
Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
永井 由佳里 筑波技術短期大学, デザイン学科, 助教授 (80320646)
|
Keywords | 科学教育 / 理数科系教育 / 創造性 / デザイン / 知識科学 / 情報技術 / 教授・学習システム / 創造性教育 |
Research Abstract |
本研究では,次の観点からデザイン行為に埋め込まれた創造性を分析し,理数科系教育における教授-学習システムの構築のための基本構造の明確化をはかった.(1)「独創的な発想」を促す要因の分析.(2)「論理的な思考力」の特徴とその過程の記述.(3)「独創的な発想」と「論理的な思考力」の関係について,その構造の把握 上記の観点からの考察を総合した結果,「創造的な学び」としてアクティブな思考プロセスが抽出された.これを教育における「創造性」と呼ぶこととし,学ぶことを創造的な情報の意味生成と位置付け,学習者が自らの学びをドライブしていくという動的構造と,知識の獲得と活用のパラレルな関係を基本とする「創造性支援」の関係図を得た.さらにそのメカニズムを理解することで,理数科系教育において具体的にどのような学習コンテンツを,どのように教授する方法が学習者の「創造性」育成に効果があるか,また,その理論的裏付けについて,観察実験や脳科学からの知見を総合し,生涯を通じた創造的な学びとは何かという視点から「個に適合した学習」の手がかりが得られた. 上記研究プロセスを経て教授・学習システムの開発に向けて下記の提案を行なった. 1,新世紀型教育の特徴として次の点を主張. (1)学習者が主体の「創造的な学び」による探索プロセスを軸にした展開.(2)上記を促進する学習者の感性を通じたコミュニケーション.(3)個の適性に合った学びのデザインとコーチング 2,数科系教育における「創造性」について,次の点を指摘. (1)創造的発見:知覚的なレベルの「気付き」を「探究」の種として育むことの重要性.(2)その検証のための推理(意味,視点の発見)と説明(論理性)の探究の繰り返し.(3)自己の学びを作品として表現する過程の重要性. 3,上記の「創造的な学び」を通じ,個に適合した学習デザインを構成するためには,ITを活用した創造性教育の実践として(1)学習者ひとりひとりの適性,感性にあうインタフェイス.(2)すでに構築されている専門的なデータベースの活用(本物,プロの知識を使う)ことが有効である. 本研究の教授・学習システム基本案を教育実践の場で展開するために,今後,更なる理論構築及び実践の場での評価,検証が求められる.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Y.Nagai, L.Candy, E.Edmonds: "Representations of Design Thinking"Journal of the International Asian Design Conference. Vol.1. 341.1-341.9 (2003)
-
[Publications] Yukari Nagai: "Research on Creativity in Design Education"TCT-Education of Disabilities. Vol.3(1). 31-35 (2004)
-
[Publications] 永井由佳里: "理数科系科目における独創性・創造性の構造把握を目指して"日本科学教育学会年間論文集. 第27号. 105-106 (2003)
-
[Publications] 永井由佳里, 野口尚孝: "創造性育成のための思考モデル"日本教育工学会. 第19号. 207-208 (2003)
-
[Publications] 永井由佳里, 野口尚孝: "聴覚障害学生の創造性の育成を目指したデザイン教育実践の事例"電子情報通信学会教育工学研究部会技術研究報告. ISS, ET H16.1.24. 11-14 (2003)