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2004 Fiscal Year Annual Research Report

近世東アジアにおける印刷術に関する産業考古学的資料の調査研究

Research Project

Project/Area Number 15021207
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

粟野 宏  山形大学, 工学部, 助手 (20202773)

Keywords印刷術 / 活版印刷術 / 器物資料 / 産業考古学 / きりしたん版 / 銅活字 / 木活字 / 技術史
Research Abstract

東アジアは,木版印刷術のみならず,活版印刷術においても先駆的で輝かしい業績を誇っている.グーテンベルク革命にさきだつこと4世紀,西暦1040年ごろ,中国の畢昇は陶磁製の活字(膠泥活字)をつくり,人類史上初の活版印刷をはじめた.1314年,中国の王〓は,木活字をつくり印刷をした.朝鮮では早くも1234年に銅活版印刷がはじめられた記録があり,以後東アジアとしては例外的に活版印刷術がさかんにおこなわれた.
活版印刷術は,16世紀末,2つのルートによって日本にもつたえられた.1つは,豊臣秀吉による朝鮮侵略のさいに,朝鮮から銅活字がもたらされ,徳川家康が17世紀はじめにかけて銅活字や木活字の利用に道をひらいた.もう1つは,16世紀後半に西欧の印刷術がイベリア半島からもたらされた.それは「きりしたん版」とよばれる.
このように,西欧の活版印刷術にくらべて,東アジアに活版印刷術が登場したのは時期的に早かったが,東アジア中に普及したとはいえない.グーテンベルクの技術体系が,またたくまに西欧世界にひろまってそれを変革してしまったこととは,あまりに対照的である.そのおもな要因として,しばしば表意・象形文字としての漢字に代表される複雑な文字体系が指摘される.しかしここでは,それにとどまらない技術に内在する要因について考察した.
東西の活版印刷術を比較したときに,もっとも大きなちがいは母型による活字の複製である.グーテンベルクの技術体系では,母型から低融点金属の鋳造により活字が大量生産されるのに対し,東アジアの活版印刷術ではそうではなかった.木活字では,一つずつ手で彫刻されるので,複製としてはきわめて低水準といわざるを得なかった.銅活字にあっても,融点が高いことに加えて,母型には砂型が用いられたので,作業性も鋳造精度も著しく劣る.こうした活字の複製のための母型の事実上の不在が,技術に内在する要因とみることができる.

  • Research Products

    (4 results)

All 2004

All Journal Article (4 results)

  • [Journal Article] 東アジアの初期活版印刷術に関する器物資料の現況2004

    • Author(s)
      粟野 宏
    • Journal Title

      産業考古学会総会研究発表講演論文集 28

      Pages: 25-28

  • [Journal Article] 東西活版印刷術における技術思想2004

    • Author(s)
      粟野 宏
    • Journal Title

      日本科学史学会年会研究発表講演要旨集 51

      Pages: 31

  • [Journal Article] 物質の移動・変化としての印刷とその技術史2004

    • Author(s)
      粟野 宏
    • Journal Title

      技術史教育学会2004年度総会研究発表講演論文集

      Pages: 13-15

  • [Journal Article] 印刷工房を描いた図画類の資料としての有効性と限界についての技術史的考察2004

    • Author(s)
      粟野 宏
    • Journal Title

      技術史教育学会2004年度全国大会研究発表講演論文集

      Pages: 24-26

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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