2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15021213
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 健三 信州大学, 人文学部, 助教授 (00221656)
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Keywords | 宋版一切経 / 字函音釈 / 帖末音釈 |
Research Abstract |
本年度は、宋版一切経附載音釈に関する先行研究・目録の整理と、宮内庁書陵部蔵の宋版一切経附載音釈(字函音釈、帖末音釈)の調査(途中)に基づき、次の諸点を確認した。 ・宋版一切経には、開宝蔵(勅版)、東禅寺版、開元寺版、思渓版などが存在するが、最も古い開宝蔵に字函音釈が存在した可能背は低い。但し、帖末音釈がいくつか存在した可能性はある。 ・字函音釈は東禅寺版に始まると考えられそうである。 ・東禅寺版に続く開元寺版には字函音釈はない、という先行研究による指摘があるが、事実ではない。 ・また、従来、帖末音釈は思渓版に始まるとされてきたが、東禅寺版・開元寺版にも存在している。現在までに調査しえた範囲では「摩訶般若波羅蜜経」巻第10,23,29、「首楞嚴經義海」巻第1〜13,15〜29にも帖末音釈が確認できている。 東禅寺版の「摩訶般若波羅蜜経」巻10,23,29の帖末音釈と当該巻所収の字函音釈(「薑字函音釋」「鹹字函音釋」)の記事を比較すると、両者は完全に一致しており、編集方針が移行した両段階をうかがわせる。
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