2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15021215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺田 浩明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60114568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70212016)
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Keywords | 中国法制史 / 清代 / 法律 / 律註釈書 / ヴァッテル万民法 / 万国公法 / 読例存疑 / 纂修條例 |
Research Abstract |
清代法律書籍の出版政策という共通テーマの下、ア)研究担当者は主に清律註釈書を対象に、イ)また研究分担者は主に清末国際法関係書を対象に検討を行い、本年度は以下の成果を得た。 ア)清律註釈書は律例本文・註釈・先例情報の三つからなる。そのうち律例本文は康煕・雍正・乾隆の大改訂の後も、定期的な條例編纂の形で二十三次に渉る小改訂が続けられたが、その全貌を一覧することは難しい。そこが定まらないと分析も先には進まない。そこでまず現存する清律條例関連資料の所在調査と書誌的研究を行い、清末期の條例を反映しまた律註釈を集大成もする《読例存疑》を整理の第一のベースと定め、その電子テキスト化を行った(最終校正を経て平成16年度中にインターネットで公開予定)。ついでそれを補訂する形で光緒『大清会典事例』および各代『纂修條例』を精査し、歴代條例の全異文を復元整理する作業を進めている。 イ)清末における西洋法知識の導入の大きな契機の一つたる国際法書籍の翻訳と出版の過程を精密に跡づけるべく、まず『開国図志』の「滑達爾各国律例」(ヴァッテル万民法)を翻訳底本たる英訳原文と対照し、更に仏語原本との対照も行った。同様に『万国公法』についても、英語原文との対照を行った。 また上記目的の為に東京大学東洋文化研究所を調査する過程で、同所所蔵の我妻栄旧蔵文書の未整理部分中に我妻栄『中華民国物権法(下)』の未刊原稿を発見した。清代の範囲を少し出るが中国法律註釈書の一環と考えられるので、その公刊に向けての整理を現在行っている。
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