2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15023217
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
神奈木 真理 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80202034)
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Keywords | ウイルス / 癌 / 細胞・組織 / トラスレーショナルリサーチ / 免疫学 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)感染者の一部に発症する。我々は、いくつかのラットモデルを用いた解析から、HTLV-I Tax特異的細胞障害性T細胞(CTL)が生体内で感染細胞の増殖を制御すること、およびHTLV-Iの経口感染がHTLV-I特異的T細胞応答不全の一因となることを示してきた。これらの結果は、HTLV-I初感染経路が宿主のHTLV-I特異的T細胞応答の強さを規定する一要因であり、その後の感染個体内でのHTLV-I感染細胞増殖に大きく影響することを示唆している。本年度は、ヒトATL患者における抗腫瘍免疫の解析の一端として、HLA完全一致同胞からの骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植後に寛解に至ったATL患者におけるT細胞応答について検討した。移植後ATL患者の末梢血リンパ球(PBMC)を培養し、移植前の同患者由来HTLV-I感染T細胞株に傷害性を持つCD8陽性CTLを誘導した。この培養CTLを用いて認識抗原エピトープを分析した結果、半数以上の細胞がHLA-A2拘束Tax 11-19エピトープを認識するHTLV-I特異的CTLであることが分かった。移植前ATL患者のPBMCでは、このような現象は認められなかった。移植後患者由来の未培養PBMCをHLA-A2/Tax 11-19テトラマーで直接染色し解析した結果、生体内でもTax 11-19特異的CD8陽性細胞が移植後に増加したことが確認された。HTLV-I陰性ドナーから移植した別のATL患者PBMCからも、同様のTax特異的CTLの増殖が認められた。これらの結果は、レシピエントであるATL患者の生体内にTaxの抗原提示が存在することを示しており、移植されたドナー幹細胞由来のT細胞がその抗原に対して新たな免疫応答を起こした結果と考えられた。
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Research Products
(6 results)