2003 Fiscal Year Annual Research Report
p53ファミリーp51/p63遺伝子が上皮細胞恒常性維持に果たす役割
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15023261
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井川 洋二 独立行政法人理化学研究所, 井川特別研究室, 特別招聘研究員 (40085618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 俊一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60140901)
加藤 伊陽子 独立行政法人理化学研究所, 井川特別研究室, 研究員 (20333297)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p51 / p63 / p53 / 皮膚 / 接着因子 / 遺伝子発現 / 発生 |
Research Abstract |
上皮細胞のがん化にともなう形質変化の機構解明とがん細胞抑制法の開発に貢献するため、P53がん抑制遺伝子ファミリーのひとつであるp51/p63が上皮、特に皮膚の形成、再生、恒常性維持において果たす役割を明らかにすることを目的として本研究を実施した。マウス胚表皮の組織学的解析、遺伝子発現調節領域のクローニング、レポータ・アッセイによる遺伝子発現誘導の分析、角化細胞幹細胞の培養、細胞の細胞外マトリクスへの接着性の解析、その他の実験を行い、表皮基底層細胞で活発に発現されている接着因子MFG-E8(Milk Fat Globule-EGF8)およびインテグリンα3がp51/p63により発現誘導を受けることを明らかにした。p51/p63のTAおよびΔNアイソフォームが、MFG-E8のプロモータ領域、インテグリンα3のイントロン1に存在するp53結合コンセンサス配列を標的として作用することを示した、乳がんのマーカーとして最初に同定されたMFG-E8はアポトーシス細胞のマクロファージによる貧食作用促進など細胞間の相互作用に重要な役割を果たしており、インテグリンα3は基底層細胞と基底膜の接着を制御する重要なタンパク質であるが、組織発生に関係するそれら細胞接着因子がp51/p63により誘導されるという知見は、ヒト遺伝疾患EECでの四肢・顔面の異型成やp51/p63ノックアウトマウスが示す皮膚・四肢の欠損に関してひとつの機構的な説明を与えた。さらに、頭頸部および肺の扁平上皮がんではp51/p63が高発現していることが知られているが、それらがん細胞においてp51/p63がMFG-E8やインテグリンα3を発現誘導し、がんの転移、浸潤を容易にしている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tomimori, Y. ほか: "Evolutionarily conserved expression pattern and trans-regulating activity of Xenopus p51/p63."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 313. 263-270 (2004)
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[Publications] Watanabe, T. ほか: "Expression of a novel secretory form (Crb1s) of mouse Crumbs homologue Crb1 in skin development."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 313. 230-236 (2004)
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[Publications] Katoh, I. ほか: "Dimerization and processing of procaspase-9 by redox stress in mitochondria."Journal of Biological Chemistry. (発表予定)(in press). (2004)
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[Publications] Teng, S. ほか: "Cytokine mRNA expression in unilateral ischemia reperfused rat lung using salt solution supplemented with low-endotoxin or standard bovine serum albumin."Am J Physiol (Lung Cell Mol Physiol). 28. L137-L142 (2004)