2003 Fiscal Year Annual Research Report
Ras/MAPキナーゼ経路の阻害因子Sproutyの活性制御機構の解析
Project/Area Number |
15024232
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花房 洋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00345844)
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Keywords | Sprouty / Shp2 / negative feedback regulator / receptor tyrosine kinase signaling / dephosphorylation / Grb2 / Sos complex |
Research Abstract |
Ras/MAPキナーゼ経路は細胞の分化/増殖に重要な役割を果たしており、この経路の過剰な活性化は細胞の癌化へとつながる。ネガティブフィードバック機構は、いったん活性化したRas/MAPキナーゼ経路をすみやかに不活性化し、細胞がホメオスタシスを維持するのに重要な役割を果たしている。我々はRas/MAPキナーゼ経路のネガティブフィードバックインヒビターSproutyが、ERK/MAキナーゼを不活性化する分子メカニズムを研究してきた。その過程でSprouty自身がチロシンリン酸化され阻害活性を持つ事を明らかにし、またこのリン酸化は時間依存的におこる事を見い出した。このことは、Sproutyを脱リン酸化するフォスファターゼが存在することを示唆する。Ras/MAPキナーゼ経路を制御するフォスファターゼを解析する過程で、SH2ドメインを持つチロシンフォスファターゼShp2が、Sproutyを直接脱リン酸化することを見い出した。さらにShp2はSproutyを脱リン酸化し、SproutyをGrb2/Sos複合体から解離させることでSproutyの阻害活性を負に制御していることも明かとなった。Shp2はこれまでの研究からフォスファターゼであるにも関わらず、Ras/MAPキナーゼ経路にポジティブに機能することが知られていた。今回我々の研究から、Shp2はSproutyの阻害活性に重要なチロシンリン酸化を脱リン酸化し、Sproutyによる負の制御を解除することでRas/MAPキナーゼ経路にたいしポジティブに働く事が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 花房洋, 鳥居暁, 安永隆之, 松本邦弘, 西田栄介: "Shp2, an SH2-containing protein tyrosine phosphatase, positively regulates receptor tyrosine kinase signaling by dephosphorylating and inactivating the inhibitor sprouty"The journal of Biological Chemistry. (In press).