2003 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌と正常上皮の連続境界微小病変部での遺伝子変異、発現変異と多段階発癌の解明
Project/Area Number |
15025205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 康 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40282074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 誠一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60221066)
砂村 眞琴 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10201584)
椎葉 健一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90196345)
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Keywords | 癌 / ゲノム / マイクロアレイ / 遺伝子 / マイクロダイセクション |
Research Abstract |
微小組織を採取する「マイクロダイセクション」の技術はこれまで、組織内の多様な細胞集団の中から固有の細胞集団を、純度を上げて採取するために多用されてきた。次なるステップは、組織内の異なる各細胞亜集団を個別に採取し、それらの細胞亜集団の持つ特性と、亜集団間の相互関係を明らかにしていくことである。この技術は臨床検体のみならず、動物モデルを用いた研究においても威力を発揮すると考えられ、応用範囲はきわめて広く、期待される技術である。この「マイクロダイセクション」の技術を用いて、大腸癌の病理形態・組織構造を分子生物学的に裏付けることを目標として、遺伝子プロファイルの解析を進めた。具体的には、同一症例の大腸癌外科切除標本に共存する、多様な病理形態をとる癌上皮を個別に採取して、それらの発現プロファイルを明らかにすることで、、1)大腸癌の分化度、固有の形態(乳頭状構造、篩状構造など)を規定する遺伝子群の解析、2)癌の表層部と比べてより分化度の低い形態をとる(budding, single cell infiltrationを含めて)癌先進部(invasive front)のプロファイルの解析、を進めた。更には、3)前がん病変から癌上皮に進展する連続病変での遺伝子変異と発現変異、4)大腸の腺腫内癌での多段階発癌を規定する要因を、臨床検体を用いて検討してきた。本課題は平成15年4月25日に、東北大学医学部倫理委員会により承認され、順調に軌道に乗せて進展した。今後の課題として、私たちが確立した手法を、他の消化器系腫瘍の解析にも適用し、腫瘍組織内の正常上皮、前がん病変、がん上皮、間質、脈管、リンパ濾胞などを個別に解析し、更にそれらの細胞亜集団の相互応答を明らかにしていく必要があると思われる。
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