2003 Fiscal Year Annual Research Report
Rasファルネシルトランスフェラーゼの亜鉛部位を標的とした抗がん剤の創製
Project/Area Number |
15025261
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40126008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 良成 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (20194409)
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Keywords | ファルネシルチランスフェラーゼ / Ras蛋白質 / 亜鉛酵素 / K-ras-NRK細胞 / ファルネシル化 |
Research Abstract |
がん遺伝子産物Ras蛋白質はがん細胞において変異を起こしている。変異Ras蛋白質はファルネシル化を受けなければがん化を引き起こすことができない。ここに関与する亜鉛酵素ファルネシルトランスフェラーゼを阻害するために、酵素の亜鉛部位に作用する亜鉛キレート性化合物の分子設計と合成を行った。 ピリジンに2つのシステアミン側鎖を導入した基本骨格をもつ化合物に、ファルネシルトランスフェラーゼに対する特異的な阻害活性を持たせるために、ピリジン4位に芳香族置換基を導入することを検討した。 ピリジン4位への芳香族置換基の導入には、ボロン酸とハロゲン化アリールをパラジウム触媒存在下でカップリングさせる鈴木カップリング反応を用いた。この方法でフェニル基、2-トリル基、3-トリル基、4-トリル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、1-ナフチル基、3-クロロフェニル基など、種々の芳香族置換基を4位にもつピリジンに2つのシステアミン側鎖を導入した化合物を合成することができた。 これら合成化合物のファルネシルトランスフェラーゼ阻害実験の結果、mMオーダーの高濃度域ではどの化合物も阻害を示し、nMオーダーでは阻害はほぼ観察されなかった。IC50値は、ピリジン4位に導入した芳香族置換基がフェニル基の場合58μM、2-トリル基の場合127μM、3-トリル基の場合56μM、4-トリル基の場合93μM、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基の場合224μM、3,4-ジメトキシフェニル基の場合607μM、1-ナフチル基の場合1.9μMであった。また、これらの化合物はK-ras-NRK細胞の形態変化を誘導し、その増殖を阻害することが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Hamasaki: "A Novel Metal-Chelating Inhibitor of Protein Farnesyltransferase"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 13(9). 1523-1526 (2003)
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[Publications] H.Takatsuna: "Identification of TIFA as an Adapter Protein that Links TRAF6 to IRAK-1 in IL-1 Receptor Signaling."J.Biol.Chem.. 278(14). 12144-12150 (2003)
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[Publications] M.Abdel-Aziz: "Synthesis and Hybridization Property of Novel 2',5'-Iso-DNA Mimic Chiral Peptide Nucleic Acids"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 13(6). 1041-1043 (2003)
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[Publications] T.Yamasaki: "New Strategy to Antiviral Agents from Peptide Nucleic Acids Derivative"Heterocycles. 60(7). 1561-1566 (2003)
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[Publications] H.Kurosaki: "Crystal Structure of 7,8-Dihydroxy-4-methylcoumarin"Anal.Sci.. 19. 647-648 (2003)