2004 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの開発とその癌遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
15025268
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
卜部 匡司 自治医科大学, 医学部, 講師 (40213516)
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Keywords | がん遺伝子治療 / AAVベクター / 組織特異性 / バキュロウイルス / 卵巣癌 / 可溶型Flt-1 / IL-10 / NK4 |
Research Abstract |
アデノ随伴ウイルス(AAV : adeno-associated virus)ベクターは、安全性が高く、骨格筋などの非分裂細胞へ遺伝子導入可能で、そのような細胞では長期的な遺伝子発現が期待できる。そこで、抗腫瘍血管療法や癌の転移・播種の抑制を狙った治療法への応用が期待され、本研究では以下の研究を行った。1)AAVベクターの血清型と組織特異性に関する検討:AAV-1,2,5,7,8型AAVに由来するカプシドを持った各AAVベクター作製法を確立し、骨格筋に対しては1型及び7型由来のベクターが、また、門脈内投与においては8型由来のベクターが最大の効果を示した。各血清型のキャプシド蛋白質に対する免疫反応をELISA法で調べたところ、全てのマウスにおいてベクター投与後に抗体価の有意な上昇が確認できた。2)バキュロウイルスを利用したAAVベクター作製法の開発:AAVベクターの普及を阻んできたベクター作製技術の壁を打開するため、バキュロウイルスと昆虫細胞を利用したAAVベクター大量作製システムの開発を1,2,5型について行った。本法で作製したAAVベクターは、通常法によるものと機能的に差異がないことが判明した。3)AAVベクターを用いた癌に対する遺伝子治療ストラテジーの検討:応用研究では、卵巣癌の腹膜播種と癌性腹水の制御を目的に、可溶型Flt-1、IL-10の各遺伝子を搭載したAAVベクターを作製し、担癌ヌードマウスを用いて治療モデル実験を引き続き実施し、それぞれの治療用遺伝子の有効性を明らかにした。4)脂肪組織への遺伝子導入法:1型AAVベクターにプルロニック系界面活性剤を添加することで、脂肪組織への遺伝子導入効果を改善することができた。また、遺伝子導入を行った組織を完全に摘出することで、元の状態に戻すことができた。
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Research Products
(12 results)