2004 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体の機能修飾機構と活性化に伴う動的構造変化の解析
Project/Area Number |
15029214
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (80211887)
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体 / FRET法 / 動的構造変化 / Gd3+ / 2量体 |
Research Abstract |
代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)の細胞外領域の結晶を用いたX線構造解析により、2つのサブユニットが会合しホモ二量体として構成されていること、それぞれのサブユニットはグローブ状の構造をしており、グルタミン酸結合によりグローブが閉じるように細胞外領域の構造が変化することが明らかにされたが、細胞外領域の構造変化に伴って起こる細胞内領域の構造変化は未知であった。そこで、我々は、光ラベルを用いた分子の動的構造変化解析という最先端の手法を用いて、昨年度よりこの問題にアプローチしてきた。異色の蛍光物質間で、距離が近いほど、エネルギーの受け渡し(FRET(Fluorescent Resonance Energy Transfer)効率)が大きくなることが物理化学的に知られている。そこで、我々は、mGluR1のリガンド投与による構造変化を、FRET効率の変化として捉えるために、遺伝子工学的に、mGluR1の細胞内領域の様々な箇所に、シアン色の蛍光蛋白、もしくは黄色の蛍光蛋白、もしくはその両方を付加し、この分子をHEK293細胞に発現させ、蛍光の測光とFRETの評価を行った。しかし、細胞内に貯留する分子由来の蛍光が高いバックグランドとなり、確実なFRET変化を捕らえることができなかった。そこで、全反射照明を用いて細胞膜上に存在する分子の蛍光のみの測光を行った。その結果リガンド投与に伴うFRET効率の変化がようやく確実に捕らえられるようになり、以下の知見が得られた。(1)2量体サブユニットの、細胞内ループ1が相互に遠ざかる。(2)2量体サブユニットの、細胞内ループ2が相互に近づく。(3)ひとつのサブユニットの内部では明らかな構造変化は起こらない。これらの知見から、リガンド投与によりmGluR1の細胞内領域においては、個々のサブユニットの構造が変化するというよりは、2つのサブユニット間の配置が変化することが示唆され、この動きがG蛋白質の活性化を引き起こすと考えられた。
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Research Products
(3 results)