2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15029225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉巻 伸章 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20155253)
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Keywords | MAP2 / 樹状突起 / 神経細胞 |
Research Abstract |
神経細胞は、発生過程を経て極めて複雑な形態を取る。情報の出力に働く軸索は、標的細胞に発現する分子の分布に依存して軸索枝を伸ばしてその形態を獲得すると考えられる。情報の入力に働く樹状突起は中枢での領域に依存して特徴ある形態をした幹の樹状突起を伸ばし、続いて小さな枝となる樹状突起を伸ばして成熟した樹状突起の形態を獲得する。後者の小さな枝の形態は、年齢とともに変化し、シナプスの分子的可塑的変化に続き変化することからも、中枢神経可塑性の基盤となることが想像される。しかしその形態形成の基盤となる分子の研究は、白紙に近い状態にある。どの様にして幹となる部分が形成され、可塑性の高い状態にある樹状突起側枝が形成されるのかを探る目的で、樹状突起の主要分子であるMicrotuble-Associated Protein 2 (MAP2)に着目して研究を進めた。MAP2には、同一遺伝子からの選択的スプライシングによって生じた高分子量(HMW MAP2;MAP2a/b)と低分子量(LMW MAP2;MAP2c/d)のスプライシング・バリアント(SV)がある。近年さらに10種以上のMAP2-SVが見つかり、これらの発現は時間的、空間的な調節を受けていることが知られる。我々は、ヒト胎児脳(21〜30週齢)cDNA試料からのPCRと5'-RACE、およびラットE16、E17胚の脳から得られたmRNAのRT-PCRによって新規MAP2-SVを探索し、新しいスプライシングバリアントを更に複数クローニングした。この中には新規エクソン5Aを持つMAP2-SVが見つかり、転写開始領域が複数あることが示された。またいくつかのエクソンを欠き、二つのtype II cAMP dependent protein kinase binding siteの内一方を欠くMAP2-SVも新たに見つかった(MAP2e)。このようなMAP2-SVの、樹状突起形態形成への寄与を調べる目的で、MAP2c,MAP2eをGFPと伴に強制発現するプラスミドを作成した。同プラスミドを株細胞に強制発現させた際の、細胞形態変化を観察した。また新規MAP2-SVのwestern blotting像と免疫組織化学像から、MAP2abc,MAP2abそれぞれに対する抗体のエピトープも明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hioki H, Fujiyama F, Taki K, Tomioka R, Furuta T, Tamamaki N, Kaneko T: "Differential distribution of vesicular glutamate transporters in the rat cerebellar cortex."Neuroscience. 117. 1-6 (2003)
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[Publications] Fujiyama F, Hioki H, Tomioka R, Taki K, Tamamaki N, Nomura S, Okamoto K, Kaneko T: "Changes of immunocytochemical localization of vesicular glutamate transporters in the rat visual system after the retinofugal denervation"J Comp Neurol. 465. 234-249 (2003)
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[Publications] Tamamaki N, Yanagawa Y, Tomioka Y, Miyazaki J, Obata K, Kaneko T: "Green fluorescent protein expression and colocalization with calretinin, parvalbumin, and somatostatin in the GAD67-GFP knock-in mouse."J Comp Neurol. 467. 60-79 (2003)