2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の軸索および樹状突起形成を担う分子群の解析
Project/Area Number |
15029241
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 直之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20223216)
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Keywords | 軸索 / 樹状突起 / 神経分化 / タンパク質 / 翻訳合成 |
Research Abstract |
神経細胞は1本の長い軸索と複数の短い樹状突起という2種類の突起を形成する。海馬神経細胞では軸索も樹状突起も共通の未成熟な突起から形成されることが解っているが、どの様な分子メカニズムで軸索あるいは樹状突起に運命決定がなされるのか解っていない。本研究では軸索および樹状突起の形成・維持を担う分子の同定・機能解析を行うことを目指す。 これまでの研究で、我々は独自に開発した高解像度2次元電気泳動法を用いて培養海馬神経細胞の軸索に濃縮する200個のタンパク質群と樹状突起・細胞体に局在する1,414個のタンパク質群を検出している。本研究でははこれらのうち、82個の神経軸索に濃縮するタンパク質群を質量分析装置を用いて同定した。同定された分子の中には、神経軸索の先端部の成長円錐に強く濃縮するひとつの新規分子が含まれていた。この分子は軸索に濃縮するのみならず神経細胞の極性形成とともに発現量が上昇した。またこの分子の過剰発現により過剰軸索の形成を誘導することがわかった。以上の結果からこの新規分子は未成熟な突起から軸索への運命決定に重要な役割を果たす可能性が示唆された。 また、同定された分子の中には、RNA結合タンパク質、翻訳終結因子等のタンパク質の翻訳合成に関与するタンパク質が含まれていた。また、実際に軸索で局所的に翻訳合成されるタンパク質を2次元電気泳動法で解析し、12個のタンパク質を検出した。また、これらのうち2個を質量分析法で同定した、今回検出した軸索で局所的に翻訳合成をうけるタンパク質群は軸索の形成・維持を担う分子の候補として非常に興味深い。 次年度は、今回同定した軸索形成作用のある新規分子と軸索で局所的に翻訳合成を受ける分子群に焦点を絞って解析を行い、軸索および樹状突起形成の分子メカニズムの解明を進めてゆく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki, Y., et al.: "Collapsin response mediator protein-2 accelerates axon regeneration of nerve-injured moter neurons of rat"J.Neurochem. 86. 1042-1050 (2003)
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[Publications] Inagaki, N., et al.: "Electrophorese bidimensionnelle haute resolution sur gel extra large pour la proteomique"BIOforun Europe Edition Francaise. 1. 28-29 (2003)
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[Publications] Nomura, E., et al.: "Acid-labile surfactant improves in-solution dodecyl sulfate polyacrylamide gel protein digestion for matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometric peptide mapping"J.Mass Spectrometry. 39・2. 202-207 (2004)
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[Publications] Inagaki, N., Katsuta, K.: "Large gel two-dimensional electrophoresis : improving recovery of cellular proteome"Curr.Proteomics. 1. 35-39 (2004)
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[Publications] 稲垣直之: "ポストシナプス・樹状突起スパインにおけるCaMKIIの空間的シグナリング"生体の科学. 54・2. 90-96 (2003)
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[Publications] 勝田和大, 野村英子, 稲垣直之: "Multiple large gel two-dimensional electrophoresis for proteomics"J.Electrophresis. 47. 27-31 (2003)
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[Publications] 稲垣直之, 稲垣昌樹: "動くシナプスと神経ネットワーク(塩坂貞夫編)"金芳堂. 103-110 (2003)