2003 Fiscal Year Annual Research Report
視床を介する神経回路の可視化と神経可塑性の分子生物学的解析
Project/Area Number |
15029242
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 啓子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (90252684)
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Keywords | 神経可塑性 / シアル酸 / シアル酸転移酵素 / ノックアウトマウス / ラフト / シナプス |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳内のST3Gal IV発現・視床神経細胞及びその神経連絡を可視化し、相経可塑性の獲得過程における生理学的・形態学的変化を観察することである。さらに、神経の可塑的変化に連動した発現変動を示す分子群を探索し、個々の分子群の動態解析を目指すことにある。 ST3Gal IV・コンディショナルノックアウトマウス作製に関しては、現在までに、targeting vectorの構築を行い、マウスC57Bl/6J由来ES細胞にtargeting vectorを電気穿孔法により導入し、ESクローンを得た。このES細胞を直接マウス胚盤胞に入れ、偽妊娠マウスに移植してキメラマウスを16匹得ることに成功し、現在交配中である。 神経可塑性の分子生物学的解析に関して、細胞膜やシナプスといった生体膜の動態を考慮する必要がある。今回は、その中でも特に細胞内シグナル伝達のホットスポットと考えられているラフトとシナプスの関係に注目した。成熟マウス脳から大脳皮質・海馬を取り出し、TritonX-100難溶性膜画分を抽出し密度勾配超遠心を行った。その結果、膜画分を2層に分離することができた。幾つかのマーカーにより、上層がraft画分、下層がシナプス(post-synaptic density)画分であることを確認した。以前より本申請者は、神経可塑性の獲得にGQ1b発現がリンクしていることを見つけていた。一方で今回、GQ1bはラフト・PSD両画分に存在することがわかった。そこでラフトやシナプス上で、GQ1b存在下のシグナルの認識応答がどの様に可塑的変化を遂げるのかを調べるために、まずはGQ1b周囲のたんぱく質を同定した。これまでにラフト画分内にGQ1bと結合している分子13種類を同定した。現在PSD画分内に存在するGQ1b結合分子の解明を試みている。平成16年度は、GQ1bの存在するラフトやシナプス上で、神経可塑性の獲得のステージの進行に伴い、どの様にシグナル分子群が変化するのかを調べる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Matsuhashi, H., Horii Y., Kato, K.: "Region-specific and epileptogenic-dependent expression of six subtypes of α2,3-sialyltransferase in the adult mouse brain."J Neurochem. 84. 53-66 (2004)