2003 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱X遺伝子FMR1と小分子RNAが携わる翻訳制御
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15029245
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
塩見 美喜子 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (20322745)
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Keywords | 脆弱x症候群 / 神経細胞 / 小分子RNA / RNAi / 翻訳制御 / FMR1 / プロテオーム |
Research Abstract |
FMR1は、精神遅滞を伴う脆弱X症候群の原因遺伝子である。FMR1遺伝子がコードする蛋白質は、RNAi(RNA干渉)の必須因子AGO2や小分子RNAと結合する。FMR1はこの様にRNAi経路と分子レベルで密接に関わることによって、標的遺伝子の発現制御を行い、脳内機能を正常に保つ働きを担うと考えられる。本年の実験より、FMR1とAGO2は生化学的に結合しうるだけでなく、遺伝学的にも相互作用しうる事が明らかになった。ハエFMR1欠損変異体が示す概日リズムの異常は、AGO2/FMR1欠損体において正常にもどる事が示された。FMR1強制発現によって見られるbristle (剛毛)の形態異常も、AGO2の強制発現によって正常化する事が示された。これらの分子機序を、今後、すすめる予定である。 ハエFMR1欠損体では、糖新生に関わる酵素Dmpep蛋白質の翻訳後修飾が、野生型と比べて異なる事が判っている。それがどのような修飾であるかを検討するために、現在、野生体とFMR1欠損体ハエ個体よリDmpepの大量精製を行っている。FMR1欠損によってハエで観察されるDmpep修飾の変異が、哺乳生物においても見られる現象であるかどうかを検討するために、マウスDmpep相同体に対するモノクローナル抗体を現在、作製中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Siomi, H., Ishizuka, A., Siomi, M.C.: "RNA Interference : A New Mechanism by Which FMRP Acts in the Normal Brain? -What can Drosophila teach us?"MRDDR review. 10. 68-74 (2004)
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[Publications] Taura, T., Siomi, M.C., Siomi, H.: "Nuclear transport of RNA and proteins(The molecular mechanisms of mRNA export)"(ed., Citovsky, V.and Tzfira, T.) Landes Bioscience, New York. (2004)
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[Publications] 石塚明, 釜田繁希, 塩見美喜子: "実験医学 3月号 RNAiメカニズム:ショウジョウバエとヒトにおける分子機構"羊土社. 7 (2004)
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[Publications] 塩見美喜子, 東あすか: "Molecular Medicine Vol.41 RNAiの作用機序"中山書店. 8 (2004)
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[Publications] 石塚明, 塩見美喜子, 塩見春彦: "遺伝子医学 Vol.7 RNAi-小分子RNAによる遺伝子発現制御-"メディカル ドゥ. 5 (2003)
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[Publications] 塩見美喜子: "様々な生物種におけるRNAi実験プロトコール 2)ショウジョウバエ「RNAi実験法」"羊土社. 9 (2003)